特許権や意匠権などを取得して、第三者に売却したい場合 / 第三者に実施許諾したい場合
弁理士の富田です。
あまり知られていませんが、
『権利譲渡又は実施許諾の用意に関する公報掲載』
という制度があります。
特に個人の方が
・第三者に権利を売却することを想定して、特許権や意匠権などを取得する場合、あるいは、
・第三者に実施権を与える(ライセンス収入を得る)ことを想定して、特許権や意匠権などを取得する場合に、
役立つ可能性のある制度です。
この制度を利用することで、
下の画像に示されるように、
①『権利譲渡』を選択した場合には、登録公報に
『権利者において、権利譲渡の用意がある』旨が掲載され、
②『実施許諾』を選択した場合には、登録公報に
『権利者において、実施許諾の用意がある』旨が掲載され、
③『権利譲渡』『実施許諾』の両方を選択した場合には、登録公報に
『権利者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある』旨が掲載されます。
なお、この制度を利用するにあたっては、
3点ほど留意すべき事項があります。
留意点1 / 制度の利用対象
『権利譲渡又は実施許諾の用意に関する公報掲載』の制度を利用できるのは、
・特許
・実用新案
・意匠
の3つだけです。
商標については、この制度は適用されません。
不使用商標防止の観点からです。
留意点2 / 制度を利用できる時期
『権利譲渡・実施許諾の用意がある』旨の掲載は、
特許公報などの登録公報に限られ、
権利取得前に発行される公開公報には掲載することができません。
つまり、
『権利譲渡又は実施許諾の用意に関する公報掲載』の制度を利用できるのは、
権利化が確定した出願に限定されます。
留意点3 / 申し込みのタイミング
特許出願の場合には、
・特許料納付と同時、又は
・特許料納付から1週間以内
に限定されます。
実用新案登録出願の場合には、
・出願と同時、又は
・出願から1週間以内
に限定されます。
意匠登録出願の場合には、
・登録料納付と同時、又は
・登録料納付から1週間以内
に限定されます。
本日もお読みいただいて有難うございました。
Author Profile
-
■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
【富田弁理士への問い合わせ先】
〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-16-9 双葉ビル5F
富田国際特許事務所
TEL:03-6205-4272 FAX: 03-3508-2095
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