「デコピンくん」商標出願の波紋 – 社会的影響と法的見地から
世界が注目するペット、その名も「デコピンくん」。
大谷翔平選手のペット犬、「デコピンくん」が最近のニュースで紹介され、その愛らしさで一躍世界的に有名な犬へと躍り出ました。大谷選手の圧倒的な才能と人気に加え、デコピンくんの魅力が相まって、ファンの心を捉えて離しません。
そんなデコピンくんの名前が、日本で商標登録出願されたという情報が私の手にも届きました。ここでは、この商標登録出願について、その背景と可能性、そして潜在的なリスクについて考察します。
【商標出願のタイミング】
デコピンくんの商標出願は、彼がメディアに初登場した直後の2023年12月18日から25日にかけて行われました。商標出願がこのようなタイミングで行われること自体、一定の戦略的意図が見受けられますが、それには様々なリスクが伴います。
【社会的リスク】
大谷選手のような著名人のペットの名前を商標登録出願することは、社会的な反感を招く可能性があります。商標登録が公的な記録として残るため、申請者の情報も公開されることになります。これにより、申請者は社会的な批判やネガティブな注目を集めるリスクにさらされるおそれがあります。
【法的側面】
日本の商標法においては、公序良俗に反する商標は登録を受けられない(商標法4条1項7号)と定められています。デコピンくんの名前が広く知られるようになった背景を考えると、この商標出願が公序良俗に反すると認定される可能性もあるのではと考えられます。商標出願に対する公序良俗違反の認定は、商標が一般公衆の情感を害する恐れがある場合や、社会的に受け入れられない慣習を助長する恐れがある場合に該当する可能性があります。
【法的経過の注目】
この商標出願の経過は、知的財産法の専門家だけでなく、一般の人々にとっても非常に興味深いものです。拒絶される可能性もあると個人的には考えていますが、最終的な判断は特許庁の審査を経て決定されるため、その結果は未知数です。
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
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