弁理士の富田です。
前回は「アプリについて特許申請する場合の注意点」について解説しました。
では、アプリに関する特許とは具体的にどのようなものなのか。今日はシンプルで分かりやすいものを一つご紹介したいと思います。なお、弁理士は守秘義務を負っているため、弊所が関与した具体的案件に関しては当ブログでの一切のコメントを控えておりますので、その点ご容赦ください。
さて、アプリに関する特許を見るたびに思うことは、
ほとんどのアプリ特許の権利内容は比較的複雑であるということ。
しかし、先日、初心者にも分かりやすい比較的シンプルなアプリ特許を見つけたので、今日はそれを紹介したいと思います。
特許番号は5256382号、発明の名称は「情報処理プログラム」、権利者は楽天株式会社。
このアプリ特許の権利内容(アプリに関係する部分)は次の請求項9に記載のとおりです。
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【請求項9】
コンピュータに、
予め設定された時刻に、アラーム出力手段にアラームを出力させるステップと、
前記アラームの出力中にユーザにより停止指示が入力された場合、前記アラーム出力手段に前記アラームの出力を停止させるステップと、
前記アラームの停止に応じて、測定器から無線で送信される生体情報を受信可能な待機状態に移行させるステップと、
を実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
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正直、わたし個人としては、このアプリ特許の権利内容自体には魅力は感じられないのですが、
アプリ特許としてのシンプルさ(つまり権利内容の広さや分かりやすさ)には評価すべき点があると感じています。
このアプリ特許は、スマホなどのコンピュータに次の3つの処理(ステップ)を実行させるプログラムで構成されています。
① スマホにアラームを出力させるステップ
② ユーザの指示に従いスマホのアラームを停止させるステップ
③ アラーム停止に続いて、スマホを所定モードに移行させるステップ
多くのアプリ特許が、(諸事情で)複雑な権利内容となっているのですが、
このアプリ特許は、上記のとおり3つ単純な情報処理を含むシンプルなプログラムで構成されており、
アプリが特許になるのか疑問を持たれている方や、はじめてアプリ特許を申請される方にとって、参考になるものと思います。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
【富田弁理士への問い合わせ先】
〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-16-9 双葉ビル5F
富田国際特許事務所
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