余命を予測するアプリ特許、ビジネスモデル特許

 

弁理士の富田です。

さて、わたし個人としては『アプリ特許』というものを、iPhoneなどのスマホやiPadなどのタブレット端末、つまり携帯型情報端末の利用を前提とする『ソフトウェア関連発明』として捉えています。

今日は、この携帯型端末を利用して人間の余命を予測するアプリ特許を紹介したいと思います。
特許5233666号、発明の名称は『余命算出装置・方法』、権利者は富士通株式会社です。

この特許において、携帯型端末が関連する権利内容は、次のとおりです。
なお、その権利内容は、下記のとおり装置構成を特定する書き方になっていますが、実質的にアプリ特許といえるでしょう。

 

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アプリ特許 『』

特許5233666号

 

 

 

 

 

 

 

 

【請求項3】
生体の脈拍情報を用いて余命予測値を算出する余命算出機能を備えた携帯端末装置であって、
脈拍情報を取得する脈拍情報取得手段と、
前記脈拍情報を記録する脈拍情報記録部と、
前記脈拍情報記録部にある前記脈拍情報から求めた過去の平均脈拍数を用いて現在までの脈拍数を求め、且つ前記脈拍情報取得手段で複数回測定して取得した前記脈拍情報を平均して現在の脈拍数を求め、前記現在までの脈拍数を生涯の脈拍数から減算して残存脈拍数を求め、この残存脈拍数と前記現在の脈拍数とを用いて余命予測値を算出する余命演算部と、
を含むことを特徴とする携帯端末装置

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この余命算出装置に関するアプリ特許の権利範囲は、上記のような内容なわけですが、
スマホなどの携帯型端末を使って脈拍を計測し、そのデータに基づいて余命を予測するといった発想が斬新だと思います。

すでに、スマホのカメラに触れたり向かうだけで脈拍(心拍数)を測定できるアプリが提供されているので
このような健康管理系アプリも広く一般に普及することが予想されます。

さらに、このようなアプリが普及することで、
個人の脈拍情報を管理するとともに、個人の健康管理を補助するクラウドサービスのようなものが登場することも予想されます。

なお、上に掲載した権利範囲(請求項3)は、アプリ特許に関するものなわけですが、
本件特許の請求項4や請求項5を見ますと、ビジネスモデル特許としても権利化されていることが分かります。

 

本日もお読みいただいて有難うございました。(次回に続く…)
虎ノ門 富田国際特許事務所

 

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Author Profile

富田 款国際弁理士事務所 代表弁理士
■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。

【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団

【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など

【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。

【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」

【富田弁理士への問い合わせ先】
〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-16-9 双葉ビル5F
富田国際特許事務所
TEL:03-6205-4272     FAX: 03-3508-2095
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【代表者】弁理士 富田 款

 

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