早期審査の場合、拒絶理由通知に対する応答期間を延長できるか?
弁理士の富田です。
さて、以前解説した記事で、
特許出願の拒絶理由通知に対する応答期間を延長する場合、
『期間延長請求書』を提出すれば足りるとお話ししました。
詳細はコチラをご覧ください。
しかし、
『早期審査』の適用を受けている場合、
期間延長を請求することは可能でしょうか?
早期に特許を取得したいといった理由で『早期審査』を請求しているにもかかわらず、
応答期間の延長を請求することは、
矛盾しているようにも思われるため、
そのような場合でも期間延長できるか否かが問題となります。
まず、『通常の審査』の場合であれば、
期間延長を請求しても、
その後の審査に特に影響することはありません。
次に、特許出願が『早期審査』の適用を受けている場合については、
特許庁からの回答によれば、
「可能ですが、早期に審査がすすめられるよう、応答期間の延長請求の抑制にご協力ください。」
とのことです。
この回答では、実際に延長できるか否かがハッキリしませんが、
当職の経験では、今までのところ、延長請求しても、特にその後の審査に影響は出ていません。
期間延長請求後の意見書・補正書の提出に続いて、速やかに特許査定が通知されています。
ですから、『早期審査』の適用を受けている場合でも、期間延長請求は問題ないといえます。
次に、『スーパー早期審査』を受けている場合ですが、特許庁からの回答によれば、
「申請から最終処分までの期間を短縮するというスーパー早期審査制度の趣旨に鑑みて、
応答期間の延長請求を行った場合は、その時点でスーパー早期審査の対象外となります。」
とのことです。
ですから、『スーパー早期審査』の適用を受けている場合、
期間延長を請求すること自体は可能ですが、
それによって、『スーパー早期審査』の適用対象から外されることに留意する必要があります。
最後に、『早期審理』(拒絶査定不服審判の早期の審理)の適用を受けている場合については、
特許庁からの回答によれば、
「早期審理としての扱いを希望された審理案件において、応答期間の延長を請求された場合、
当該審理案件については原則として早期審理の対象として取り扱わず、
通常の審理と同様に扱うこととしておりますので御留意ください。」
とのころです。
したがって、『早期審理』の適用を受けている場合についても、上記と同様に、
期間延長を請求すること自体は可能ですが、
それによって、『早期審理』の適用対象から外されることになります。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
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