知らないと損する。マンションや住宅などの不動産物件のデザインは、意匠登録できる。
弁理士の富田です。
さて、以前書いた記事で、
意匠法では、不動産(土地の定着物)に関するデザインは、保護対象から除外されており、
住宅や橋梁などの建築物のデザインは、そもそも意匠登録することができない、
とお話ししました。これが原則です。
しかし、実際には、
『組立家屋』という名称で、
一戸建て住宅やマンションなどのデザインが意匠登録されています。
その登録数、なんと775件(2014/01/17現在)。
下の図は、その登録意匠の一部です。
上の図を見てお分かりのように、
誰がどう見ても、一戸建て住宅やマンションなどの『不動産』ですね。
意匠登録できないはずの『不動産』が、実際には意匠登録されているわけです。
なぜなのか。
実は、特許庁の解釈では、
集合住宅などのマンションや建売住宅は、(当然ですが)組立完成前の段階では『動産』であり、
これらのマンションや建売住宅を『動産』とみなしているわけです。
つまり、マンションや建売住宅を、土地の定着物としては扱っていないのです。
したがって、解釈上かなり無理がありますが、
意匠法では、マンションや建売住宅は、『動産』として扱われ、
意匠登録できることになります。
では、意匠法で登録できない『不動産』とは何なのか。
これは、例えば、有名建築家がデザインした住宅の外観や、
スカイツリー、東京タワーなどの、いわゆる一品製作物です。
これらの一品製作物は、マンションや建売住宅と違って量産されることはないため、
意匠法では保護されない『不動産』に該当することになります。
(意匠法では、量産できない一品製作物は登録できません。)
このように、意匠法では、建て前として『不動産は意匠登録できない』としながらも、
実際には、量産可能な多くの不動産について『動産』とみなして意匠登録しているといえます。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
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