『伊勢海老キャッチャー』ついて特許は取れるのか
弁理士の富田です。
下の図が何を表しているか分かりますか?
そうです。UFOキャッチャーならぬ伊勢海老キャッチャーです。
海産物を扱っている地方の土産屋の一部に、こういったものが置いてあるそうです。
伊勢海老のほか、アワビやウニ、タラバガニなども、キャッチャーの景品に含まれているそうです。
わたしは見たことがないですが…
ところで、こういったものを思いつくと、
特許申請しようと考える方が必ずいるものです。
そこで調べてみたところ、
やはりありました。
平成11年に特許申請されたアイデアで、
その発明の名称は『水中自動景品取出装置』。
(権利内容の全文PDFはコチラ)
上の図に描いてあるとおり、この特許申請では、
UFOキャッチャーの景品置き場を水槽に改造して、
そこに伊勢海老などの高級魚介類を並べるといった申請内容になっています。
この特許申請は、特許庁での実体的な審査を受けることなく取下処分となりましたが、
仮に、実体的な審査を受けていたとしても特許を取ることはできなかったでしょう。
UFOキャッチャーの景品置き場を水槽に改造するといったアイデアは、
ビジネスアイデアとして斬新なものであったとしても、
特許権が付与されるほどの技術上の斬新さはないといえます。
中身を、ぬいぐるみなどの景品から、伊勢海老などの魚介類に変更することは、
技術的な創意工夫があるとはいえず、同業者であれば容易に思いつく改造に過ぎないとみなされるからです。
ただし、伊勢海老やタラバガニといった、魚介類の鮮度を保つための創意工夫や、
動く景品をキャッチしやすくするための創意工夫がある場合には、
新たな技術的工夫が加えられており、特許を取れる可能性がでてくるといえます。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
※ 図面はIPDLより引用
Author Profile
-
■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
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