中小企業を対象とする審査請求料・特許料の軽減措置。
特許庁から発表される。
弁理士の富田です。
さて、日本の中小企業にとって、
特許申請の審査請求料(平均14万円前後)は過度に高額であり、
わが国の特許申請件数の減少の一因となっています。
このような問題点に鑑み、先日、特許庁から、
中小企業を対象とする審査請求料・特許料の軽減措置が発表されました。
内容は↑こちらのページを見ていただければ分かりますが、
その支援内容は、
中小企業の支援策としては満足できるものではなく、
少々残念な内容となっています。
この軽減措置の対象者というのは、次の個人事業主または法人になります。
a.小規模の個人事業主(従業員20人以下(商業又はサービス業は5人以下))
b.事業開始後10年未満の個人事業主
c.小規模企業(法人)(従業員20人以下(商業又はサービス業は5人以下))
d.設立後10年未満で資本金3億円以下の法人
もっとも残念なのは、項目cの法人について
『従業員20人以下(商業又はサービス業は5人以下)』に限定されている点です。
業種に関係なく、少なくとも『従業員100人以下』まで対象を広げ、
小規模企業のみならず中規模企業も積極的に支援してほしいところでした。
したがって、上に掲げた従業員数や設立年数などの条件を満たさない中小企業等は、
当然、この軽減措置を受けることができません。
なお、この条件に該当する『関連会社』の名義で形式的に特許申請・審査請求を行って、軽減適用を受け、
特許査定後や登録後に、本来の権利者に名義変更するといった脱法行為的な手続きを行う者が
現れる可能性がありますが(審査請求料の軽減適用の目的で)、
その点に関する禁止事項や、費用の返還については、特に規定されていません。
ただし、大企業の子会社など、支配法人がいる場合には、その子会社は上記c.d.の対象から除外されています。
つまり、形式的に、この条件に該当する『子会社』を利用して特許申請して、軽減措置を受けるといったことはできないので、
その点には注意が必要です。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
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