斬新な動きを伴う工業デザインをどう保護するか。
特許なのか、それとも意匠なのか...
弁理士の富田です。
工業デザインのなかには、
・形状の変化(動き)を伴わないものと、
・形状の変化(動き)を伴うもの
の2種類があります。
形状の変化(動き)を伴わない工業デザインとしては、例えば
このブログでも何度か取り上げているiPhoneなどの情報端末のほか、
自動車や各種部品などが挙げられます。
一方、形状の変化(動き)を伴う工業デザインとしては、
例えば、次の動画に見られる『開閉式ドア』が挙げられます(※Youtubeより引用)
一見しただけではよくわからないかもしれませんが、
開閉式というか回転式というか、とにかく斬新な動きです。
こういった奇抜な動作を伴う新規な工業デザインは、
・その『外観』に特徴があるほか、
・その『動作メカニズム』にも特徴があるといえます。
『外観』そのものは、そのデザインを意匠登録することで、保護することができますが、
『動作メカニズム』については、意匠制度で保護することができません。
意匠制度は、あくまでも物品の外観や形状を保護する制度に過ぎないからです。
一方、このような『動作メカニズム』を保護する制度として、特許制度があります。
上記のように、ある特定のメカニズム(斬新なメカニズム)を採用することで、斬新な動作が可能になる場合には、
そのメカニズムについて特許を受けることができる場合があります。
こういったメカニズムについて『特許』を受けることで、
外観の類否を問わず、同様の動きをするドアの製造等(第三者の実施)を制限できるので、
権利の効力、すなわち、第三者に対する影響力としては、意匠権よりも特許権の方が大きいといえるでしょう。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
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