特許申請における『カラー図面』の取り扱い ~日米の違い~
弁理士の富田です。
特許申請の業務に従事していると、依頼人から、
説明資料として『カラー図面』をいただくことがあります。
カラー図面は、白黒図面と違って特徴が分かり易く、
できればそのまま特許申請の図面として利用したいのですが、
残念ながら、日本で特許申請する場合、
申請書類に『カラー図面』を添付することはできません。
特許法施行規則において「図面に着色してはならない」と規定されているからです。
なお、実務上では、
技術の理解を助けるための『参考資料』として
カラー図面を補足的に提出することは認められていますが、
特許申請書類に添付する図面は、
着色されていない白黒図面でなければなりません。
一方、アメリカでは少し事情が違うようです。
あくまでも例外的な取扱ではありますが、
一定の条件を満たす場合には、
カラー図面の提出が認められているようです。
その一例が下記の米国特許(クリックで全文PDFを表示)。
この米国特許、一見すると、
通常の白黒図面が添付された特許のように思われますが、
フロントページ(1頁目)には、
『17 of 17 Drawing Sheet(s) Filed in Color』
と記載されています。
つまり、この米国特許では、
カラー図面が提出されています。
また、図面の説明の前(PDFの20頁目)には
The patent or application contains at least one drawing executed in color.
Copies of this patent or patent application publication With color drawing(s)
will be provided by the Office upon request and payment of the necessary fee.
と記載されています。
つまり、通常の米国特許公報(無料ダウンロードできるPDF)では、図面は白黒で表示されていますが、
上で紹介した米国特許の場合には、
所定の費用を支払うことで『カラー図面』付きの特許公報を入手することができます。
したがって、アメリカで特許申請する場合には、
所定の理由に該当すれば、例外的にカラー図面を提出することができ、
また、カラー図面が添付された特許公報を有料で入手することができる、
ということになります。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
【富田弁理士への問い合わせ先】
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富田国際特許事務所
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