米国で『アイアンマン・スーツ』を特許申請、さすがにこれは…
弁理士の富田です。
映画『アイアンマン』。
2008年に一作目が公開されたアメリカの映画です。
ご存知のとおり、この映画には
『アイアンマン・スーツ』と呼ばれる装備が登場します。
アイアンマン・スーツを知らない方はコチラの動画を(youtubeより引用)。
上の動画にあるように、生身の人間がこのアイアンマン・スーツを装着することで、
ロボットのような無敵のパワーを得ることができるとともに、
ジェット機のように空中を自在に飛行できるようになるらしいです。
さて、この『アイアンマン・スーツ』、まさかと思いましたが、
2011年に米国で特許申請されていたので、今日はそれを紹介したいと思います。
どこからどう見ても『アイアンマン』。
タイトルもズバリ『IRON MAN SUIT』。
分かり易い…。
この『IRON MAN SUIT』の米国特許出願において
権利化が申請されている部分の概要は、ざっくりと言って
・弾丸などから装着者を守り、強靭な材料からなるフルボディー装着物と、
・前記フルボディー装着物に設けられたハイドロ・メカニズムと、
・前記フルボディー装着物に設けられた動力源と、を有しており、
・前記動力源は、ハイドロ・メカニズムにパワーを供給し、
・前記動力源が起動させると、ハイドロ・メカニズムを利用して歩行できるようになる、
・ことを特徴とするスーツ装置。
といった感じの内容なっています。
たいへんユニークなアイデアなのですが、
この『IRON MAN SUIT』というのは、
その特許申請前に既に公開されていた映画に登場していますから、
特許要件の一つである新規性を満たさないことになります。
また、この『IRON MAN SUIT』は、
ファンタジーの世界に登場する装備であり、
実現可能性に乏しいと考えられますから、
権利化にあたってはその点も問題になるものと考えられます。
この米国特許申請、現在、米国特許商標庁にて審査中であり、
近いうちに登録可否の結論が下されることになっています。
登録は難しいのではないかと…。
なお、本日紹介した『アイアンマン・スーツ』の米国特許申請の全文PDFはコチラから。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
-
■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
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