共同出願人の一部が『特許料の軽減』を受ける場合の注意点
弁理士の富田です。
一定の条件に該当する場合、
『特許料の軽減』を受けることができます。
この適用を受けることで、一定期間、
特許権を維持するための印紙代が安くなるわけです。
※ 特許料軽減の適用対象についてはコチラを参照。
この特許料軽減措置は、
複数の者が共同で特許出願した場合において、
その一部の者だけが適用を受けることも可能です。
ただし、
共同でした特許出願において
一部の者だけが軽減適用を受ける場合、
納付する特許料の計算について注意が必要です。
具体的には、以下の3つの点に注意する必要があります。
1.納付する特許料(軽減された特許料)の計算式
特許権を複数の者で共有する場合であって、
その一部の者だけが特許料の軽減適用を受ける場合、
以下の計算式に基づいて、納付する特許料を計算します。
例えば、次の3名で特許権を共有する場合を想定します。
① 権利者A(持分1/4、軽減適用なし)
① 権利者B(持分1/4、軽減適用なし)
③ 権利者C(持分2/4、軽減適用あり)
権利者Cの軽減率が1/2の場合、
納付する特許料の計算式は、次のとおりになります。
納付する特許料 = 通常の特許料 × 3/4
2.十円未満の端数は切り捨てる
上記の計算式に基づいて『納付する特許料』を算出すると、
十円に満たない1円単位の端数が生じる場合がありますが、
その場合、十円に満たない端数(1円単位)は切り捨てます。
例えば、
算出した計算結果が「6025円」の場合には、
実際に納付する特許料は「6020円」ということになります。
3.納付する特許料は『1年分ごと』に算出する
ここが一番間違えやすい点です。
特許査定後に納付する最初の特許料、
つまり、
特許権の登録時に納付する特許料は、
1年分~3年分をまとめて納付します。
ここで注意したいのは、
1年分~3年分の特許料の合計額に対して、
上記計算式を適用するのではなく、
1年分ごとに上記計算式に基づいて算出して、
それを3年分 合計するという点です。
計算によって「十円に満たない端数」が生じる場合には、
計算の順序によって納付金額が変わってくるため注意が必要です。
本日もお読みいただいて有難うございました。
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
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