弁理士の富田です。
今日でお盤休みが終わりという方も多いと思います。
厳しい残暑がしばらく続くと思いますが、体調管理に努めて夏後半を頑張りたいと思います。
さて、他社製品を購入して、これを分解・解析することで技術情報を習得し、
その技術情報を、自己の技術向上に役立てる行為を、一般的に『リバース・エンジニアリンング』といいます。
また、このリバース・エンジニアリングは、技術情報の習得目的のほか、
特許権侵害の確認の目的で行われる場合もあります。
今日は、この『リバース・エンジニアリング』の適法性/違法性(特許法・不正競争防止法上の適法性/違法性)について
検討したいと思います。
<特許法上の違法性について>
他社製品の『分解』や『解析』といった行為は、そもそも、特許権侵害の要件である『業としての実施』に該当しません。ここでいう『実施』に該当する行為としては、例えば、特許製品の製造、販売、展示、輸出、輸入などが挙げられます。
したがって、リバース・エンジニアリングを行っても、特許権侵害の問題は生じないということになります。
ただし、リバース・エンジニアリングによって習得した知識に基づいて、特許製品を製造したり、それを展示・販売等する場合には、特許権侵害の問題が生じる可能性がありますので、その点に注意する必要があります。
<不正競争防止法上の違法性について>
他社製品を正規ルートで購入した場合には、その製品の所有権はその購入者に属すわけですから、
これをどのように処分するかは、基本的に購入者の自由ということになります。
そして、このように正規ルートで購入した製品から技術情報を習得することは、営業秘密の『不正取得行為』に該当しません。『不正取得行為』とは、例えば、詐欺や脅迫行為などをいいます。
また、市販されているものから習得できる情報は、『公然と知られていないもの』に該当しませんから、不正競争防止法に規定された営業秘密の要件を満たさないことになります。
よって、リバース・エンジニアリングは、不正競争防止法で禁止された『営業秘密の不正取得行為』に該当しないということになります。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
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