包袋書類(特許庁に対する手続き書類)の閲覧で注意すべき事項②
弁理士の富田です。
さて、前回も記事でも書きましたが、
企業の知財戦略の策定では、
ライバル会社が関与している事件の包袋書類を閲覧することが
非常に重要です。
特に、
特許権侵害訴訟に発展するような事態が生じた場合には、
包袋閲覧によって権利者等の主張を徹底的に調べ上げることになります。
ただし、当事者系の審判などは、
当事者(権利者や審判請求人)の主張内容が
紙媒体に記録されているため(つまり電子データが無いため)、
この種の包袋書類を閲覧するためには、
特許庁に出向いて閲覧請求を行うことになります。
このような特許庁での包袋閲覧やコピーは、
外部の業者に依頼すれば足りることですが、
急ぐ場合には、
自ら特許庁に出向いて閲覧する必要があります。
なお、通常は、
閲覧請求した当日に包袋書類を見ることはできません。
閲覧請求してから、特許庁での閲覧準備が整うまでに
数日かかります。
たぶん、
倉庫のような保管場所まで書類を取りに行くのに、
数日かかるのでしょう。
このように、
特許庁における当事者系審判(特許無効審判など)の書類閲覧は、
色々と面倒なわけですが、
更に面倒なのが、
閲覧した書類のコピーです。
閲覧した書類のなかには重要な書類も含まれていますから、
書類のコピーが必要になるときもあるわけですが、
自分でコピーすることは許されません。
特許庁内にある発明協会(Japioでした)に依頼して、
一枚50円(だったはず)というボッタくり価格のコピー代を支払って、
必要な部分をコピーしてもらう必要があります。
特許庁の1階にコピー職人がいて、
その人たちが、オートフィーダーも使わず、
手作業で一枚一枚コピーします。
(訂正) 2013/10/11追記
コピー職人の方々は発明協会でなく、『日本特許情報機構(Japio)』の所属でした。
ボッタくり価格の方も訂正です。5枚まで 398円の基本料金 + 6枚目以降 74円/1枚 でした。(高すぎっ!)
このコピー待ちに結構時間がとられます。
そのようなわけで、
しばらくのあいだスマホなどを使って
必要なページを撮影していたわけですが(特に撮影を禁止するような注意書きは無かった)、
ある日、
書類撮影の光景をみていた係官に『撮影はダメです』と指摘されました。
理由を聞いたところ、
『閲覧請求』では書類を目視で見ることだけが許され、
デジカメやスマホでの撮影は許されないとのことです。
おそらく、
撮影を許すと特許庁にいるコピー職人が職を失うことになる
といった大人の事情もあるのでしょう。
このように、
当事者系審判の書類閲覧は色々と面倒なわけですが、
急がない方や費用を気にしない方は、
包袋書類一式の写しの取り寄せを業者に依頼するのがよいでしょう。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
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