自分の会社名を他人が商標登録。その場合の商標権の効力が及ばない範囲とは。

08.02


自分の会社名を他人が商標登録。その場合の商標権の効力が及ばない範囲とは。

弁理士の富田です。

 

さて、ここ数日、「自分の会社名と他人の登録商標」の関係について
シリーズでお伝えしています。

 

今日は、

自分の会社名を他人が商標登録した場合、
どのような影響を受けることになるのか、

つまり、
・何ができて、
・何ができなくなるのか、

その点について具体的に言及している判例を
紹介したいと思います。、

 

まず前回の記事で紹介したとおり、
商標法26条1項1号によれば、

・『自己の名称』若しくは
・『自己の名称』の著名な略称を
普通に用いられる方法で表示する商標には
商標権の効力は及ばない

ということになっています。

 

したがって、
株式会社や有限会社といった会社の種類を含む商号、
すなわち「株式会社○○○○」といった会社名は、

普通に用いられる方法で表示する限り、
原則として、他人の登録商標の存在に関係なく、
使用を継続することが可能です。

 

そこで問題になるのが、『普通に用いられる方法』の程度です。
どこまでが『普通』に該当するのか。

 

この点について参考になるのが本日紹介する判例です。

まずは、こちらの判例(平成10年(ワ)第4292号)の抜粋をご覧ください。
重要部分に下線を引いています。

 

被告は、
本件被告標章は、被告の名称の普通に用いられる方法での表示にすぎない
と主張する。

しかしながら、商標法26条1項1号が、
自己の名称を普通に用いられる方法で表示する商標について、
商標権の効力が及ばないとしたのは、

そのような商標についてまで商標権の効力が及ぶとすれば、
本来需要者が商品について必要とする製造者・販売者等の情報を得ることができなくなってしまい、
取引秩序という公益を図ることができなくなってしまうからである。

したがって、同号にいう「普通に用いられる方法」とは、
商品の製造者・販売者名等を示す方法として普通に用いられる方法をいう
ものと解するのが相当である。

しかるに、
甲9、12及び13のパンフレットに付された本件被告標章は、
いずれも、被告の名称である「株式会社アイコム」という表示ではなく、

その使用態様も、
それらのパンフレットには、
別途開発元販売者ないし開発製造者として「株式会社アイコム」と記載されている一方で、

本件被告標章は、
単に本件システムや本件コンピュータの開発元販売者名ないし開発製造者名を示す以上の態様で
使用されていると認められるので、

「普通に用いられる方法」で使用されているということはできない。

また、本件コンピュータに付された本件被告標章についても、同様であり、
その表示内容、使用態様(特に、商品上面に付されている本件被告標章1又は3は、大きく目立つように記載されている。)からすると、

それは、単なる本件コンピュータの開発・製造者名を示す以上の商標と認められるので、
「普通に用いられる方法」で使用されているということはできない

したがって、被告の上記主張は採用することができない。

 

上記の判例によれば、

株式会社○○○○」といった、株式会社や有限会社などを含む会社名を、
商品の裏側や、ウェブサイトの企業紹介ページなどに、
製造者・販売者等の情報として、目立たないよう小さく表示する場合には、

「普通に用いられる方法」に該当し、

原則として他人の商標権の効力が及ぶことがなく、
その会社名を使用し続けることが可能です。

 

一方、
株式会社○○○○」といった会社名を、
商品上面や、ホームページのトップに
大きく目立つように表示する場合には、

「普通に用いられる方法」に該当せず、

他人の商標権の効力が及ぶことになり、
そのような方法での会社名の表示は制限されることになります。

 

このように、
自分の会社名を他人が商標登録した場合、

基本的に、
その会社名の使用が完全に禁止されるわけではないですが、

その会社名を使用できる範囲は、
著しく狭い範囲に限定されてしまう
という点に留意する必要があります。

 

本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所

 

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Author Profile

富田 款国際弁理士事務所 代表弁理士
■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ コンピュータハードウェア、ナビゲーションシステム、メカトロニクス、医療機器、内視鏡、ビジネスモデル、土木技術、掘削装置などの特許技術を担当。
■ 特許の権利化業務では、国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。

【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など

【技術分野】 機械、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。

【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」

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