調理方法は特許の対象なのか。味自慢の料理人の疑問に答える。
弁理士の富田です。
特許について詳しくない方でも何となくお分かりだと思うのですが、
『特許』というのは主としてテクノロジー(工業技術)に関するアイデアを保護する法律です。
ですから、料理の方法、つまり調理方法というものは、
テクノロジーとは少し違った分野になるので、特許権とは無関係のようにも思われます。
ところが、わが国では、調理方法についても、工業の発展に寄与するアイデアの一種として捉え、
一定の要件(新規性や進歩性など)を満たすことを条件に、特許権が与えられるようになっています。
今日は、調理方法に関する特許の事例を2つほどご紹介したいと思います。
事例1
権利者:理研ビタミン株式会社
特許番号:4080862号
発明の名称:野菜類の調理方法
権利内容:
食塩を熱媒体として使用し、
香味野菜を加熱調理することを特徴とする香味野菜の調理方法。
(※特許権の全文PDFはコチラ)
事例2
権利者:奥野製薬工業株式会社
特許番号:4250346号
発明の名称:野菜の調理方法
権利内容:
野菜に加熱油脂を流下させて油かけを行う工程、および
該油かけした野菜を該油かけの温度よりも高温で炒める工程
を含む、野菜の調理方法。
(※特許権の全文PDFはコチラ)
このように、わが国では、一般人の方が簡単にできそうな調理方法に対しても特許権が与えられています。
したがって、食品工場は勿論のこと、レストラン、居酒屋、弁当屋などは、
上記特許権の調理方法を使用して、食品を調理することはできないということになります。
もし、無断で上記調理方法の実施を行えば、差止請求や損害賠償請求の対象になる虞があります。
なお、特許権の効力というのは、個人的な実施や、家庭内での実施には及ばないので、
上述したような特許権の内容を個人的・家庭的に実施する場合には、
権利者の許諾を得ることなく自由に実施できるので、ご安心ください。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
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