オレオレ詐欺を防止するビジネスモデル特許、アプリ特許が権利化。早期の実現が期待される。
弁理士の富田です。
オレオレ詐欺。もはや知らない人はいない卑劣な犯罪行為です。
これを防止可能なビジネスモデル特許が、最近、権利化されました。
権利内容は下記のとりです。
権利者:NECビッグローブ株式会社
発明の名称:振り込め詐欺防止システム
特許番号:5334213
※ 本件特許の全文PDFはコチラ。
【請求項1】
宛先リストに未登録の相手と通信を開始する際、所定の通知先に注意情報を送信する第1通信端末と、
前記第1通信端末から前記注意情報を受信した際、前記第1通信端末と該相手との通信中に、前記第1通信端末にメッセージを送信する処理と、該通信を監視する処理と、該通信に介入する処理と、のうち少なくとも1つの処理を実行する第2通信端末と
を含む
振り込め詐欺防止システム。
【請求項10】
宛先リストに未登録の相手と通信を開始する際、所定の通知先に注意情報を送信するステップと、
所定の通知元から注意情報を受信した際、前記所定の通知元と該相手との通信中に、前記所定の通知元にメッセージを送信する処理と、該通信を監視する処理と、該通信に介入する処理と、のうち少なくとも1つの処理を実行するステップと
を通信端末に実行させるための
プログラム。
概要としては、
例えば、お婆ちゃんが、見知らぬ相手(怪しい相手など)と電話で通話を開始するとき、
その通話相手の電話番号が未登録の場合には、その旨を家族のスマホに送信するとともに、
その家族端末が通話に介入できるようにする、といった内容です。
上記請求項1のとおり、
その記載は簡潔であり、権利範囲は広く、特許権としての権利価値は高いものと認められます。
また、請求項10では、
プログラムについての権利も押さえているため、アプリ特許としての権利価値もあります。
さらに、このアプリ等を通じて手数料収入や広告収入が期待できますから、
本件特許は、ビジネスモデルとしての性格を有しているといえます。
ただ一つ気になるのは、
家族による通信の『監視』や『介入』は、高齢者をオレオレ詐欺から守るうえで非常に有効な手段なわけですが、
この『監視』や『介入』に実現には、法的な壁があるようにも思われます。
いずれにしても、単なる権利化で終わらないように、早期の実現が期待されます。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
【富田弁理士への問い合わせ先】
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