BlackBerry vs. BlackBerryもどきのiPhoneケース (前回の続き)
弁理士の富田です。
さて、今回は、前回の続きです。(前回の記事はコチラ)
左側があの有名な『BlackBerry』で、右側がBlackBerryもどきの『iPhoneケース』です。
キーボード(物理キー)の部分が似ているということで、
米国で特許訴訟に発展しています。
BlackBerry側の主張によれば、このBlackBerryもどきのiPhoneケースが、
次の特許権およびデザイン特許権を侵害しているとのことです。
① 米国デザイン特許権:D685775
Handheld electronic device
② 米国特許権:7629964
Hand-held electronic device with a keyboard optimized for use with the thumbs
③ 米国特許権:8162552
Ramped-key keyboard for a handheld mobile communication device
上記の3つの権利の一つ、『米国デザイン特許権:D685775 』を見てみますと、
登録されているのは『携帯型電子デバイス(Handheld electronic device)』です。
一方、BlackBerryもどきのiPhoneケースは、ただのケースではありません。
このケースは、Bluetooth接続可能な物理キーを装備していますから、
『携帯型電子デバイス(Handheld electronic device)』に該当するといえるでしょう。
また、この『米国デザイン特許権:D685775 』に開示されたデザインを見てみますと、
次のようになっています。
↑ クリックで拡大
少しわかりずらいのですが、
上の図において、キーボード部分だけが実線で記載され、その他は破線で記載されています。
つまり、実線で描かれたキーボード部分だけがデザイン特許として登録された部分であり、
その他の部分(ケースやディスプレイなど)は、参考部分に過ぎないことが分かります。
したがって、このデザイン特許は、実質的に『電子デバイスのキーボード配列』に関するものであることが分かります。
そして、両者のキーボード部分を比較すると、酷似しているように見えます。
以上のとおり、両者は、
・携帯型電子デバイスという点で共通し、
・キーボード部分のデザインが似ているため、
BlackBerryとしては、自己のデザイン特許を侵害していると判断したと思われます。
もっとも、この『BlackBerryもどきのiPhoneケース』を作ったメーカーによれば、
特許権を侵害していないのは明らかだとのことなので、
今後の経過を見守りたいと思います。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
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