アップルによる特許権侵害が認定された、日本人発明家の特許権 『クリックホイール特許』。その内容とは…
弁理士の富田です。
先日の報道で、アップルの携帯音楽プレーヤー『iPod』で使われている
クリックホイールに関する特許権侵害のニュースが目に留まりました。
報道によれば、
このクリックホイールに関する基本特許を持っている日本人発明家が
アップルに対し損害賠償を求めた特許権侵害訴訟の控訴審判決があり、
知的財産高等裁判所が、1審の東京地裁判決に続いて特許権侵害を認め、アップルに対し3億3600円の支払いを命じた、
とのことです。
そこで、今回は、
この日本人が持っている特許権の概要を解説したいと思います。
上記のクリックホール特許の内容は、コチラの特許公報に記載されています。
ただし、アップルによる特許無効審判の可能性があると判断した本件特許権者が、
先手を打って防御措置として特許権の訂正(訂正審判)を行ったため、
現在のクリックホイール特許の権利内容は、コチラの審決公報に記載されたとおりの内容となっています。
そして、もっとも重要な、特許権の権利範囲を決定づける内容(訂正後の内容)は、
次のとおりになっています。
【請求項1】
(a) 指先でなぞるように操作されるための所定の幅を有する連続したリング状に予め特定された軌跡上に連続してタッチ位置検出センサーが配置され、前記軌跡に沿って移動する接触点を一次元座標上の位置データとして検出するタッチ位置検知手段と、
(b) 接点のオンまたはオフを行うプッシュスイッチ手段と
を有し、
(c) 前記タッチ位置検知手段におけるタッチ位置検出センサーが連続して配置される前記軌跡に沿って、前記プッシュスイッチ手段の接点が、前記連続して配置されるタッチ位置検出センサーとは別個に配置されているとともに、前記接点のオンまたはオフの状態が、前記タッチ位置検出センサーが検知しうる接触圧力よりも大きな力で保持されており、かつ、
(d) 前記タッチ位置検知手段におけるタッチ位置検出センサーが連続して配置される前記軌跡上における前記タッチ位置検出センサーに対する接触圧力よりも大きな接触圧力での押下により、前記プッシュスイッチ手段の接点のオンまたはオフが行われる
(e) ことを特徴とする接触操作型入力装置。
特許に不慣れな方の場合、これを内容を理解して読み込むというのは、なかなか難しいと思いますが、
みたところ、上記の(a)~(e)の各特徴は、まさに『クリックホイール』が具備している内容だといえます。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
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富田国際特許事務所
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