弁理士の富田です。
特許庁に対する手続きの多くは、オンライン経由でできるようになり、一昔前に比べると非常に便利になりました。
しかし、一部の手続きについては、未だに紙媒体のみで手続きを進めるようになっています。その代表例が当事者系の審判です。具体例として、特許の無効審判や、商標の異議申立、取消審判などが挙げられます。
これらの当事者系審判の記録は、電子データではなく紙媒体に記録されているわけですが、知財戦略を策定する上で、ライバル会社が関与した当事者系審判の記録を調査するときがよくあります。いわゆる包袋記録の閲覧(審判記録の閲覧)です。
この包袋閲覧で注意すべき点があります。
特許庁は、紙媒体の手続き書類を一定期間経過した後に廃棄するので、その後は閲覧できなくなります。
(廃棄しないと特許庁が書類で埋もれるため。)
一定期間(書類の保存期間)については、特許庁が配布している下の資料に記載されています。
特に注意が必要なのは、取り下げられた審判については、保存期間が2年となっている点です。
取り下げられた審判であっても、知財戦略上重要な情報が記載されていることが多いわけですが、取り下げ後2年を経過すると閲覧できなくなります。
このように、紙媒体の手続き書類(手続きの記録書類)に関しては、一定期間を経過すると特許庁が廃棄する点に留意する必要があります。
なお、当事者系審判などもpdfデータなどを使ってオンラインで手続きできるようにすれば、このような問題は生じないわけですが、今のところそのような予定はないそうです。
本日もお読みいただいて有難うございました。(次回に続く…)
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
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