iPhone/iPadのHOMEボタンを利用するアプリ特許

 

弁理士の富田です。
前回の記事に続いてアプリ特許の紹介です。気になるものを見つけたので。

今日ご紹介するアプリ特許は、
特許5217098号、発明の名称「ヘルスセンサ機能付携帯端末装置」、権利者は富士通株式会社。

このアプリ特許の主な権利内容は、下記のとおりです。

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【請求項１】
生体の情報を採取して健康状態を測定するヘルスセンサと、
移動状態を検出する移動センサと、
制御処理を行う制御部とを備え、
前記制御部は、前記移動センサからの一定リズムの移動状態の歩数を一定回数検出後に前記ヘルスセンサをオン／オフして１回の測定を行うことを特徴としたヘルスセンサ機能付携帯端末装置。
【請求項２】
指を添える窪みに前記ヘルスセンサを設けることを特徴とした請求項１記載のヘルスセンサ機能付携帯端末装置。
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請求項1,2に記載の「移動センサ」,「制御部」,「指を添える窪み」のいずれも、
今のiPhone/iPadに備わっていますから、ヘルスセンサとして機能させるアプリさえ揃えば、
iPhoneやiPadを、上記のようなヘルスセンサ機能付携帯端末装置として機能させることができます。
つまりこの「ヘルスセンサ機能付携帯端末装置」は、実質的にアプリ特許といえます。

請求項１の内容は、一見すると、シンプルであっさりとしていて比較的広い権利内容に見えますが、
拒絶理由対応の補正で権利範囲が大幅に減縮されてしまったため、やや実効性に欠けた内容になっています。
ちなみに、本件の審査経過を調べたところ、拒絶理由が3度通知され、そのたびに減縮補正を行った結果、多少狭い権利内容となってしまいました。

このように、本件のアプリ特許の権利範囲はそれほど狭くないのですが、
注目すべきは、請求項２に記載の「指を添える窪み」をヘルスセンサとして機能させる点です。
このアプリ特許は申請日が平成18年2月なのに対して、初代iPhoneの発表が平成19年1月ですから、
偶然とはいえ、初代iPhoneの登場前に、スマホのHOMEボタンなどを多機能化させることを思いついてた点に驚きです。

ちなみに、先日発売されたiPhone5sは、HOMEボタンに指紋認証センサーを備えていますから、
HOMEボタンのセンサーを利用するアプリが今後増える可能性があるといえるでしょう。

 

本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所