弁理士の富田です。
さて、本日見たネット上の記事によれば、シャープがまな板として使えるタブレット端末を発表したとのこと。
正直、このような「まな板タブレット」が日本でそれほど多く売れるとは思えませんが、
まな板+タブレット端末という、あり得ない組み合わせを商品化したという点で、話題性の高い商品であるといえます。
ところが、この「まな板タブレット」に関するアイデアというのは、
すでに、ニコンによって平成22年に特許申請されているのです。
シャープはその事実を知っているのか知らないのか…
特許申請日は平成22年12月10日、発明の名称は「まな板装置」、出願人は株式会社ニコン。
その特許申請内容の概要は下記のとおりです。
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【請求項1】
料理に関する情報を表示する表示部と、
前記表示部の画面を目視可能に内蔵するハウジング部と
を備えていることを特徴とするまな板装置。
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非常に広い権利内容で特許が申請されているといえます。
この特許申請の内容と、シャープが発表した「まな板タブレット」を比較すると、両者の特徴が完全に一致しますから、
ニコンの上記特許申請が将来権利化された場合、原則として、シャープは「まな板タブレット」を製造販売できないことになります。
なお、特許権の効力は、申請された特許出願の審査が完了し、特許権として登録された日から発生します。つまり、特許出願されていても、権利登録されていなければ、特許権侵害が生じることはありません。
しかし、ニコンの上記特許申請は、今のところ審査前のペンディング状態であり、現時点では特許権として登録されていません。
したがって、現時点でシャープが「まな板タブレット」を製造販売したとしても、今すぐに、ニコンから侵害警告や権利行使を受けることは無いといえます。
もっとも、特許出願の内容というのは、申請された内容のままで(お咎め無しで)ストレートで登録になることはほとんどなく、
特許庁から1度か2度の拒絶理由を受け、それを解消すべく権利範囲を減縮するなどして権利化されるケースがほとんどです。
したがって、ニコンの「まな板装置」が、上記内容のままで(広い権利内容のままで)権利化される可能性は低いといえるでしょう。
将来、シャープから「まな板タブレット」が販売されたときには、
ニコンの「まな板装置」の特許出願の経過を確認してみたいと思います。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
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