特許権の侵害警告における不競法上の注意点 (その1)

10.06


photo credit: Mr. T in DC via photopin cc

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弁理士の富田です。

さて、不正競争防止法では、禁止される不正競争行為の一つとして、次の行為を規定しています。
競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為(不競法2条1項14号)

ここでいう
・『害する』とは、他人の営業上の信用・社会的評価を低下させることをいいます。
・『虚偽の事実』とは、客観的事実に反する事実をいいます。

したがって、特許権侵害が疑われる事態が生じた場合において、
例えば、侵害被疑者の取引先に対し『○○社の商品は自社の特許権を侵害している』旨の警告書を送付したものの、
実際には特許権を侵害していないとの法的判断が出たときには、
当該警告(取引先に対する警告書の送付)は、その警告内容によっては上記の不正競争行為に該当し、不競法に基づく権利行使(損害賠償請求など)を受ける可能性があるといえます。

なぜなら、
上記警告は、侵害被疑者の取引先に対する行為であって、侵害被疑者本人の社会的評価を低下させているといえ、
また、実際には特許権を侵害していないとの法的結論が出ているため、上記警告は、客観的事実に反する事実を告知しているといえるからです。

よって、特許権侵害の警告を行う場合において、侵害被疑者の『取引先』等にその侵害の事実を告知したり警告するときには、
上記の不正競争行為(不競法2条1項14号)に該当することのないよう、十分に注意する必要があります。

なお、上記の事例において、侵害被疑者の本人に対して警告する行為は、(非侵害の法的判断が出たとしても)不正競争行為に該当することはありません。
なぜなら、侵害被疑者『本人』に対して警告する行為であれば、仮に侵害の事実がなかったとしても、当該本人の社会的評価を低下させることにはならず、不競法2条1項14号の不正競争行為の要件を満たさないと考えられるためです。

次回は、取引先への侵害警告等が不正競争行為に該当するとされた具体的事例について解説したいと思います。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所

 

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Author Profile

富田 款国際弁理士事務所 代表弁理士
■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。

【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団

【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など

【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。

【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」

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