特許権の侵害警告における不競法上の注意点 (その3)

10.08


 

弁理士の富田です。
さて、前回までの記事(その1その2)では、
特許権の侵害被疑者の取引先等へ警告したり、侵害する旨の広告を掲載するといった行為が
不正競争行為(不競法2条1項14号)に該当する可能性があると解説しました。

ところで、そのような特許権侵害に関する『取引先等への警告』や『広告表示』などが、
弁理士や弁護士などの専門家の意見に基づくものである場合には、
当該警告や広告などは法的に正当化されるのでしょうか。
つまり、そのような警告や広告が専門家の意見に基づくものであれば、不正競争防止法に基づく損害賠償責任を回避できるでしょうか。

不正競争防止法の第4条は、「故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。」と規定しているため、
弁理士や弁護士などの専門家の意見に基づいて、侵害被疑者の取引先等へ警告した場合に、
特許権者が損害賠償責任を負う可能性があるか否かが問題となります。

この点について判例では、
「特許権を侵害する」との弁理士の意見に基づいて、相手方の取引先に対して警告状を送付した事案につき、
その警告状の記載内容がたとえ弁理士という専門家の意見に基づくものであっても
その場合の弁理士の立場は、警告状送付者(特許権者)の側にあり、中立的立場ではないとして、
過失の存在を否定する相当の理由となり得ない、と判示しました。(大阪高判昭55.7.15)

したがって、弁理士や弁護士などの専門家の意見に基づいて,
侵害被疑者の取引際等に対して「特許権を侵害する」旨を警告したり、或いは広告するものであっても、
過失が認定され、不正競争防止法に基づく損害賠償責任を負う可能性があることに十分に注意する必要があります。

本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所

 

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Author Profile

富田 款国際弁理士事務所 代表弁理士
■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。

【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団

【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など

【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。

【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」

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