大学や独立行政法人等での試験・研究に特許権の効力は及ぶのか

02.02


大学や独立行政法人等での試験・研究に特許権の効力は及ぶのか

弁理士の富田です。

さて、弊所では、大学等の研究機関からの依頼を受け付けることもあるため、
表題にあるような相談が寄せられることも珍しくありません。

 

例えば、最近話題になっている『STAP細胞』の国際特許出願において
申請されている主たる発明というのは、次のような内容になっています。

 

1. A method to generate a pluripotent cell,comprising subjecting a cell to a stress.
(「細胞にストレスを加えることを特徴とする多能性細胞の生成方法」)

(国際特許の全文PDFはコチラ。 ← 注:131ページ!)

 

この国際特許出願が、そのまま日本で特許権として成立する可能性は低いと考えられますが、
仮に、この申請内容のままで特許権が成立した場合、
大学や独立行政法人等での『STAP細胞』の試験・研究にどのような影響が出るのでしょうか。

つまり、『細胞にストレスを加えてSTAP細胞を生成する』といった研究行為、試験行為を実施するにあたって、
あらかじめ特許権者の許諾を得る必要があるのか否かが問題となります。

 

この点、特許法では、
『特許権の効力は、試験又は研究のためにする特許発明の実施には、及ばない』
ことが規定されています(特許法69条)。

 

したがって、上で例示した『STAP細胞の生成方法』の事例であれば、
試験や研究を目的として「細胞にストレスを加えることを特徴とする多能性細胞生成方法」を
実施する行為には、特許権の効力は及ばず、誰でも自由に試験・研究を行うことができます。

 

ただし、特許権の効力が及ばないのは、あくまでも、試験や研究といった行為に限定されるのであって、
試験や研究の『成果物』を販売する行為については、特許権の効力が及ぶことに注意する必要があります。

 

本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所

 

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Author Profile

富田 款国際弁理士事務所 代表弁理士
■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。

【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団

【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など

【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。

【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」

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