進歩性違反の拒絶理由に対する効果的反論 (第2回:阻害要因)

02.14


進歩性違反の拒絶理由に対する反論として有効と考えられる『阻害要因』
阻害要因とは具体的に何を意味するのか。

 

弁理士の富田です。
今日は、前記の続きです。(前回の記事はコチラ

 

さて、前回お話ししたとおり、
進歩性違反(特許法29条2項違反)の拒絶理由に対して有効なのは、
『阻害要因』に基づく反論です。

 

では、『阻害要因』とはいったい何なのか。
特許庁 審判部 進歩性検討会の発表によれば、
阻害要因は次のとおりに解釈されています。

 

『阻害要因』とは
動機づけの不存在といった消極的な要因ではなく、
・引用発明どうしを組み合わせると、その技術的な前提条件が破綻してしまう
・組み合わせると取り返しのつかないデメリットが生じることが技術常識として知られている、あるいは
技術課題の解決方向が逆になる
というような
引用発明どうしを組み合わせることが当業者にとって想定され得ないもの
を意味するものと解されています。

 

では、具体的にどのような場合に、この『阻害要因』が成立するのでしょうか。
特許庁審査基準では、その具体例として、次の3つの事例を挙げています。

 

【例1】
出願人が引用発明1と引用発明2の技術を結び付けることを妨げる事情
を十分主張・立証したときは、引用発明からは本願発明の進歩性を否定できない。
例えば、カーボン製のディスクブレーキには、
金属製のそれのような埃の付着の問題がないことが技術常識であって、
埃除去の目的でカーボン製ディスクブレーキに溝を設けることは考えられない等。


【例2】
引用発明1は、ターミナルピンの設け方を工夫することにより薄型化を図る事を目的とする
トランスの取り付け装置であるが、
引用発明1のターミナルピンに引用発明2の構成を適用すると、
折角逃がし穴まで設けた上で設け方を工夫して薄型化を図ったターミナルピンを
考案の目的に反する方向に変更することになるから、
両者が平面取り付け可能という点で共通することを考慮しても、
当業者が容易に想到することができたものとは認められない。


【例3】
本願発明が炭酸マグネシウムの分解に伴う二酸化炭素を利用するものであるのに対し、
引用発明はその利用を否定するものであるから、
対比判断の資料に供し得ない。

 

 

なお、実際に進歩性違反の拒絶理由通知を受けた場合、
上記事例に見られるような『阻害要因』に基づく反論を、すべてのケースに適用することは難しいわけですが、
それでも、引用文献をじっくりと読み込むことで、3割以上は、阻害要因に基づく反論が可能と考えられます。

 

本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所

 

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Author Profile

富田 款国際弁理士事務所 代表弁理士
■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ コンピュータハードウェア、ナビゲーションシステム、メカトロニクス、医療機器、内視鏡、ビジネスモデル、土木技術、掘削装置などの特許技術を担当。
■ 特許の権利化業務では、国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。

【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など

【技術分野】 機械、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。

【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」

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