コンテンツ配信に関するビジネスモデル特許。あの有名芸能人が特許権を取得か!?

あの有名芸能人とは『野口五郎』。QRコードを利用した映像配信システムに関するビジネスモデル特許を取得。
芸能人としてはあまり目立たなかったが、ビジネスアイデアに関する目の付け所はなかなか鋭い。

弁理士の富田です。

特許番号:4859882号、登録日:2011年11月11日、発明の名称:コンテンツ配信システム。
発明者および出願人名後のいずれも、野口五郎さんの本名と思われる氏名(個人名義)で特許庁に登録されています。
この特許権の概要は以下のとおりです(特許権の全文PDFはコチラ。)

 

野口五郎氏のビジネスモデル特許  ※IPDLより引用

野口五郎氏のビジネスモデル特許  ※IPDLより引用

 

この特許発明の具体的な用途としては、
例えば、ID情報やURL情報が含まれるQRコードを、コンサートや音楽イベントのチケットに印刷しておき、
コンサート終了後に、イベント参加者がスマホでそのQRコードを読み込むとともに、特定のサイトにアクセスし、
所定の認証をパスしたあとに、録画されたコンサート映像などのコンテンツを、アクセス先のサーバーから受信する、
といった使い方が考えられます。

 

つまり、イベント参加者が、イベントへの参加そのものを楽しめるようにするとともに、
イベント終了後にも、録画されたイベント映像をスマホで視聴できるようにする(つまり2度楽しめるようにする)ことで、
結果として、イベント参加者(チケット購入者)が増える、といったビジネスモデルになっています。

なお、この特許権で扱われるコンテンツは、映像に限定されておらず、
音楽、写真、小説、ゲームなど、ダウンロード可能な様々なコンテンツがカバーされています。

 

この野口五郎氏による特許出願では、特許申請の当初、下記【請求項1】の内容、つまり、
QRコードが印刷されたチケットそのものを権利化したかったようですが、
下記【拒絶理由】により、技術的アイデアでないと指摘され、最終的に『コンテンツ配信システム』という
システム構成の特徴で特許される結果となりました。

 

■ 特許申請時における【請求項1】
データコードが予め印刷されている情報印刷媒体であって、
前記データコードには、該情報印刷媒体のID情報及びコンテンツ配信サービスを提供するウェブサイトを示すURL情報が含まれ、
携帯電話を介して前記ウェブサイトに前記ID情報を引数としてアクセスすると、
前記ID情報に基づいて、
正当に販売された情報印刷媒体であるか否かの検証即ち商品認証と、その利用者が正当な利用者であるか否かの検証即ち利用者認証と、ダウンロード可能なコンテンツの特定とが行えることを特徴とするコンテンツ配信用情報印刷媒体

 

■ 特許庁からの【拒絶理由】
請求項1-2に係るコンテンツ配信用情報印刷媒体は、印刷媒体のID情報、
コンテンツ配信サービスを提供するウェブサイトのURL情報を含む2次元コー
ドなどのデータコードを予め印刷したものなので、提示される情報の内容にのみ
特徴を有するものであり、情報の提示を主たる目的とするものであるから、自然
法則を利用した技術的思想の創作ではなく、発明に該当しない

 

上記のとおり、 この特許申請では、『コンテンツ配信用情報印刷媒体』の特許性が否定され、拒絶理由が通知されたわけですが、
このコンテンツ配信用情報印刷媒体を利用したコンテンツ配信システムの具体的構成が詳細に記載されていたため、
システム構成の点で無事に特許権を取得することができました。

したがって、ビジネスモデル特許の申請では、抽象的なビジネス方法の記載に終始することなく、
コンピュータ・ソフトウェアの観点から(しつこい位に)プロセスを徹底的に詳細に記載することが大切であるといえます。

 

本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所

 

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Author Profile

富田 款国際弁理士事務所 代表弁理士
■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。

【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団

【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など

【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。

【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」

【富田弁理士への問い合わせ先】
〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-16-9 双葉ビル5F
富田国際特許事務所
TEL:03-6205-4272     FAX: 03-3508-2095
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