日本における『RETINA』の商標登録に手間取るアップル

日本における『RETINA』の商標登録に手間取るアップル

弁理士の富田です。

さて、Retina Display(レティナ・ディスプレイ)といえば、
アップルが採用する高精細液晶ディスプレイとして有名ですが、
今日はこの『Retina』の商標登録に関する話題です。

 

米国のアップル社は、
液晶表示装置の開発などの役務(行為)について『Retina』の商標権をすでに取得していますが、
肝心要の液晶表示装置そのもの(商品)については、『Retina』の商標権の取得に手間取っているようです。

 

アップルは、今から約3年前の2011年に、
液晶ディスプレイなどを指定商品とする『Retina』について、商標登録を申請しましたが、
いまだに登録に至っていません。(通常は8か月程度で審査が終了。)

 

おそらく、米国のイーストマン・コダックが1998年に取得した
下記商標権の存在が障害になっているものと考えられます。

 

米国イーストマン・コダック社の商標権

 米国イーストマン・コダック社の商標権 

 

日本の商標制度では、
商標権の取得は、原則として「早い者勝ち」ですから、
このままでは、コダックの商標権が障害となって、アップルは『Retina』の商標権を取得できないことは勿論のこと、
『Retina』のネーミングの継続的使用が危ぶまれることになります。

 

そのため、現在、アップル社はコダック社に対して
上記登録商標『Retina』の取消(登録商標の取消の審判)を申請しています。

 

この取消審判がうまくいけば、アップルは、無事に『Retina』の商標権を取得できることになりますが、
取消に失敗すれば、『Retina』のネーミング使用にあたって、コダックへのロイヤルティの支払いなどが必要になるものと思われます。

 

この『Retina』に関する商標問題に進展がありましたら、あらためて報告したいと思います。

 

本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所

 

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Author Profile

富田 款国際弁理士事務所 代表弁理士
■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。

【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団

【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など

【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。

【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」

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