弁理士の富田です。
特許出願の場合、
拒絶理由通知に対して応答できる期間は、
通常、通知書の発送日から60日間です。
(なお、極稀にですが、応答期間『10日』という情け容赦ない拒絶理由通知もあります。)
この60日の期間は、
拒絶理由回避の難易度や引用文献の多さなどによっては、
より長い検討時間の確保のために、延長したいときがあります。
しかし、拒絶理由通知書には「延長の可否」については特に書いてありません。
そこで覚えておきたいのは、
この60日の応答期間は、
延長することが可能な場合があるということです。
この記事を見ている方は、『日本国内居住者』でしょうから、
延長請求が認められるためには、
下記の条件を満たす必要があります。
その条件とは、
『拒絶理由通知書で示された引用文献に記載された発明との対比実験を行う』
との理由で期間延長請求を行う必要があるということです。
したがって、
引用文献が挙げられていない拒絶理由(いわゆる36条違反や37条違反などの記載不備違反)
の場合には、延長請求は認められません。
この点に留意する必要があります。
では、『拒絶理由通知書で示された引用文献に記載された発明との対比実験を行う』
との理由では応答期間を延長した場合、
後日、その対比実験の証拠(実験データなど)を、特許庁に提出する必要はあるのでしょうか。
当職の経験では、現在までのところ、
そのような実験データなどの対比実験の証拠の提出を求められたことはありません。
したがって、特許法29条1項違反や29条2項違反の場合で、応答期間の延長を希望するときは、
『拒絶理由通知書で示された引用文献に記載された発明との対比実験を行う』と記載した書面を単に形式的に提出すれば、
延長が認められることになります。
一度認められた期間延長請求は、その後に撤回されることはありません。
なお、将来的には、延長許可後に対比実験の証拠を求められる可能性もあるので、
その点には十分にご注意ください。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
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