スマホのイヤホンを使ったアプリ特許 ~もはやイヤホンは音楽を聴くだけのデバイスではない~
弁理士の富田です。
さて、『イヤホン』とは、ユーザの耳に装着して音楽や音声を聴くために用いる小型デバイスのことをいいます。
少し前までは、iPodなどの携帯型音楽プレーヤーに接続するのが一般的でしたが、
今では、スマホに接続して利用するのが一般的といえます。
今年2014年の2月、米国のアップル社が
スマホのイヤホンを利用したアプリについて米国特許を取得したので、
今日はそれを紹介したいと思います。
まず、このアプリで利用するイヤホンは、通常のイヤホンが持っている電子部品に加えて、
・ユーザのヘッドモーションを検知するためのアクティビティ・センサーと、
・ユーザの生体情報をモニターするための生体センサーと、
を具備しています。
後者の『生体センサー』は、
ユーザの体温、心拍数、発汗状況などをモニターする役割を担っています。
そして、今日紹介するアップルのアプリ特許は、上記のような構造を持ったイヤホンを使うことを前提としており、
その権利内容の概要は、
・イヤホンに内蔵のアクティビティ・センサーからヘッドモーションデータを受信し、
・受信したヘッドモーションデータが、予め定めたヘッドジェスチャーに一致するか否かについて判断し、
・一致したヘッドジェスチャーに対応する第1のアクションの決定し、
・イヤホンに内蔵の生体センサーからユーザの生体情報を受信し、
・受信した生体情報が、所定の身体状況に一致するか否かについて判断し、
・一致した身体状況に対応する第2のアクションの決定し、
・携帯態情報端末において、前記第1または第2のアクションを実行する、
・ことを特徴とする携帯情報端末の制御方法。
といった内容になっています。
つまり、ユーザが装着したイヤホンを使って、
体温や心拍数をモニターすると同時に、ユーザの頭部によるジェスチャーも識別し、
その識別した生体情報や頭部ジェスチャーに対応するアクションをスマホに実行させる、
といった内容になります。
これが実現すれば、
いままで音楽を聴くための道具だったイヤホンを、
健康管理やその他のスマホ制御などにも利用できることになります。
なお、これはアップルの特許権ですから、
実現されるとすれば、やはりiPhoneということになると思います。
最後に、本日紹介したSamsungの米国特許公報はコチラから。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
【富田弁理士への問い合わせ先】
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富田国際特許事務所
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