弁理士の富田です。
さて、最近のスマホやタブレット端末は高精細表示が可能になり、
アプリの画面はデザイン性に優れたものが多くなっています。
そのため、スマホやタブレット端末向けに提供されるアプリの画面デザインについて、
意匠登録できないものかと考える方も多いと思います。
たしかに、意匠制度はデザインを保護する法律であり、また、
現行法では、所定の要件を満たす場合に『画面デザイン』を意匠登録することを認めていますから、
意匠制度を利用してアプリの画面デザインを登録できるかのように思われるかもしれません。
しかしながら、現在の意匠法では、アプリに関する画面デザインを意匠登録することはできません。
特許庁は、『画面デザイン』について意匠登録することは認めていますが、
スマホなどの画面デザインを意匠登録申請する場合には、登録の条件として次のすべての要件を満たすことを求めています。
① 意匠登録申請する画面デザインが、情報端末のスクリーンに表示されるものであること。
② 意匠登録申請する画面デザインに関する機能が、情報端末にあらかじめ記録されたものであること。
③ 意匠登録申請する画面デザインが、情報端末と一体的に創作されたものであること。
ところが、アプリというのは、
・AppStoreなどを通じてスマホに対して事後的にインストールされるものであり、また、
・スマホとは別個独立して創作されるものですから、
上記の②③の要件を満たさないことになります。
したがって、スマホやタブレット端末用アプリの画面デザインというのは、
2013年現在の法律では意匠登録できないということになります。
なお、上記の要件を満たすスマホの画面デザインとしては、
・スマホ自身が持っている機能に関連した画面デザイン(例えば通話時、撮影時、待ち受け時の画面)であって、
・スマホメーカーがスマホと一体的に創作した画面デザイン
といったものを満たすものが該当するものと考えられます。
その意味で、以前の記事で紹介したアップルのiPhone用ナビ画面(登録意匠)は、
アプリに関する画面デザインではなく、
iPhoneにプリインストールされた機能(iPhone自身が具備する機能)に関する画面デザインであるといえるでしょう。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
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