弁理士の富田です。
長いあいだ特許出願の業務に携わっていると、相性の合わない審査官に当たるときがあります。
『相性のあわない審査官』とは、発明の本質を理解しようとせず、はじめから拒絶する気満々の特許庁審査官のことです。
年に数回、このような審査官に当たり、そのたびに対応に苦労します。
妻が公務員なので、たまに『○○な審査官に当たってしまい大変だ』と愚痴をこぼすと、
妻は『公務員のなかには基地外もいる。世間の常識は通用しない。』と答えてくれます。公務員である本人が言っているので間違いはないでしょう。
今日は、そのような困った審査官から拒絶理由通知を受けた時の対応について検討してみます(特許出願の場合)。
① 分割出願をする(もとの特許出願から発明の一部を抜き出して新たに特許出願する)
これをやっても、同じ審査官が分割出願を担当する可能性が高いため(つまり逃げられないので)、得策とは言えません。
② 拒絶査定不服審判を請求する。
知り合いの弁理士から聞きました。『バカな審査官に当たったら、相手にせず、拒絶査定不服審判で争う』と。
(わたしの言葉ではありません。)
しかし、これをやると、審判請求の経済的負担をクライアントが負うことになるので、わたしとしては、できれば避けたい方法です。
③ 審査官に対する不満を意見書でストレートに言う。
これをやると、発明の内容にかかわらず絶対に特許権を得ることはできないので、どんなに不満がある場合でも、わたしはやりません。
④ 怒りを隠して意見書で紳士的に丁寧に説得する。
クライアントの負担を避け、確実に結果を出すためには、結局この方法が一番です。
決して感情的になってはいけません。
ただし、いつか夢のリタイヤ生活を送れる日がやってきたら、今まで積りに積もった不満を審査官にぶちまけてみたいです。
その日までは怒りを抑えて修羅のように働きます。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
【富田弁理士への問い合わせ先】
〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-16-9 双葉ビル5F
富田国際特許事務所
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