商標権や著作権などの権利侵害が生じた場合における
LINE Creators Market の利用者の責任
弁理士の富田です。
LINE Creators Market。
サービスが開始されてまだ数か月ですが、
小銭を稼いでいる小学生のクリエイターもいるとか…。
さて、この『LINE Creators Market』とは、
各クリエイターが作成したオリジナルスタンプを
LINEアプリを通じて世界中のLINEユーザーに販売するシステムです。
したがって、
クリエイターが作成したオリジナルスタンプの販売するにあたって、
仮に、商標権や著作権などの権利侵害の問題が生じた場合には、
販売者である株式会社LINEが直接的に責任を負うことになります。
一方、LINE Creators Marketでは、
クリエイターの責任として、
次の事項を規定しています。
※ https://creator.line.me/ja/terms/ より引用。
【11. クリエイターの責任 】
11.1. クリエイターは、クリエイターご自身の責任と費用負担において本サービスを利用するものとし、本サービスにおいて行った一切の行為およびその結果について一切の責任を負うものとします。当社による本コンテンツの審査、承認または選定は、本規約に定めるクリエイターの責任を否定するものではありません。
11.2. 当社は、クリエイターが本規約に違反して本サービスを利用していると認めた場合、当社が必要かつ適切と判断する措置を講じます。ただし、当社は、かかる違反を防止または是正する義務を負いません。
11.3. クリエイターは、本サービスを利用したことに起因して(当社がかかる利用を原因とするクレームを第三者より受けた場合を含みます。)、当社が直接的もしくは間接的に何らかの損害(弁護士費用の負担を含みます。)を被った場合、当社の請求にしたがって直ちにこれを補償しなければなりません。
上記の【規定11.1】によれば、
LINE側の審査をパスしたからといって、
クリエイターは免責されるわけではない
ということになります。
また、LINE Creators Marketは、
他人の商標権や著作権などを侵害する行為を禁止していますが、
上記の【規定11.2】によれば、
LINE側は権利侵害を防止する『義務』まで追っているわけではない
ことが分かります。
そして、一番重要なのが、上記の【規定11.3】です。
仮に、商標権侵害や著作権侵害で、
LINE側が第三者に訴えられ、損害賠償責任を負ったとき、
クリエイターは、その弁護士費用を含め、
LINE側に対して補償しなければなりません。
つまり、
LINE Creators Marketの利用者は、間接的に、
商標権侵害や著作権侵害の責任を負う場合がある、ということになります。
したがって(言うまでもないことでが)、
他人が作成したキャラクターを無断で利用したり、
他人の商標権に侵害すりょうなキャラクターを無断で利用することは、
避けるべきであるといえます。
本日もお読みいただいて有難うございました。
Author Profile
-
■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
【富田弁理士への問い合わせ先】
〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-16-9 双葉ビル5F
富田国際特許事務所
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