分割出願の有効活用

弁理士の富田です。

さて、『分割出願』という手続きは弁理士であれば誰でも知っている手続きですが、
依頼人からは『分割出願とは何か?』という点について質問が寄せられることが多いです。
特に、他社の特許出願が分割出願であることに気づいて疑問を抱き、質問を寄せる方が多いように見受けられます。

分割出願の説明については、他のサイトで詳細に説明しているので、ここでの説明は省略しますが、
長年にわたって知財の仕事をしていると、知財戦略に優れた企業ほど『分割出願』を有効活用している
ことに気づきます。

今日は、どのように分割出願を有効活用すればよいのか、その一例について解説します。

特許出願は、出願から登録に至るまで、一般的なケースで5年前後を要しますが、
出願から3~5年ほど経過すると、他社の類似品が市場に出回ることがあります。

そのような類似品の中には、想定外の特徴を持った類似品が存在することがあり、
当初の特許出願の権利内容では、市場からの排除が難しいと感じられるときがあります。

一方、現在の特許法では、特許査定から30日以内であれば、
特許出願の記載から発明の一部を抜き出して、分割出願することができます。
(その他、法律で決められた所定の期間内で分割出願を行うことが可能です。)

そこで、特許査定が通知されたときには、登録手続きに進む前に、
その出願の権利内容と他社製品(特に想定外の類似品)を今一度比較検討し、
必要であれば、想定外の類似品まで特許権でカバーできるように、あらためて権利内容を構築し、分割による特許出願をするのが望ましといえます。

また、このときに分割出願の助けとなる重要な要素として『図面』が挙げられます。
分割出願の内容は、もとの特許出願の記載を超えることができませんから、
もとの特許出願に記載されていない特徴を、分割出願の方で記載することはできません。
そうかといって、もとの特許出願にあらゆる事項を(想定外の事項を含めて)記載することは困難であるといえます。

しかし、もとの出願の『図面』中に視覚的に明確に書いてあれば、
その図面中の構成を文章化して、それを分割出願の方に記載することは認められます。

したがって、もとの特許出願には、開示できる図面(ノウハウの要素が強い図面を除く)については、
可能な限り具体的で、バリエーションに富んだものを添付するのが好ましいといえます。
この図面の内容に基づいて、切り口を変えた新たな権利範囲を持った特許出願(分割出願)を行うことが可能です。

本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所

 

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Author Profile

富田 款国際弁理士事務所 代表弁理士
■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。

【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団

【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など

【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。

【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」

【富田弁理士への問い合わせ先】
〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-16-9 双葉ビル5F
富田国際特許事務所
TEL:03-6205-4272     FAX: 03-3508-2095
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【企業名】富田国際特許事務所

 

【代表者】弁理士 富田 款

 

【所在地】〒105-0001
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