特許の申請書類において英語標記はどこまで許されるのか。
特許明細書は『権利書』という性格を持っているので、英語標記が許されるか否かが問題となる。
弁理士の富田です。
さて、技術説明の文章では、英語標記でテクニカルタームを記載することも珍しくありません。
とくに、ITや化学の世界では、外来語の技術用語をカタカナで書くよりも、
英単語をそのまま記載した方が分かり易いこともあります。
では、技術説明を記載する特許申請書類では、
英語標記はどこまで許されるのでしょうか。
まず、『明細書』の書類では、
常識的範囲内であれば、技術用語などを英語標記して技術説明することは認められます。
次に、『特許請求の範囲』の書類についてですが、
特許法施行規則で次の文字を使うことが規定されています。
・ひらがな(外国語はカタカナ)
・常用漢字
・アラビア数字
つまり、原則として、特許請求の範囲に英単語を記載することはできません。
ただし、アルファベットを使うことが禁じられているわけではなく、
例えばPtやAgといった化学記号は、そのまま使うことができます。
また、日本語で記載された技術用語の隣にカッコつきで英単語を記載することも許容されています。
一方、特許請求の範囲において、
発明のキーワードとなる部分を英語だけで記載した場合には、不明確であるとして、
記載不備の拒絶理由(36条6項違反)を通知される虞があるといえるでしょう。
したがって、特許請求の範囲に外来語を記載する場合には、
英語表記することが常識的である場合を除いて、
カタカナで記載することが得策であると考えられます。
なお、言うまでもないことですが、日本の特許権の取得を目指す以上、
権利書類である特許明細書を全文英語で記載することは、原則として認められていません。
(外国語書面出願を選択する場合を除く。)
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
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