落としたスマホが、空中で猫のように向きを変え、所定部位から地面に落下する。
そんな技術をアップルが米国で特許申請。
弁理士の富田です。
持ち上げた『猫』を空中で手放すと、
自ら姿勢制御し、きちんと足元から着地します。
普通の猫なら背中から地面に落ちることはありません。
これは猫の運動能力によるものですが、
これと同様に、落下時のスマホの姿勢を制御可能な技術(情報端末)が
アップルによって米国で特許申請されました。
申請内容の全文PDFはコチラです。
今回、アップルによって特許申請された情報端末は、
・モータと
・情報端末の落下を自動検出するセンサと、
・落下時の情報端末の向きを判別するセンサと、
を有しています。
スマホのセンサがその落下を検出すると、それと同時にモータを駆動させ、
それによって、下の図に示すように(USPTOより引用)、
情報端末の向きを所定方向に変えさせるようになっています。
まるで落下時の猫の様に姿勢を制御します。
この姿勢制御の結果、
スマホが、落下衝撃に強い湾曲コーナー部などから地面に衝突するため、
スマホのガラス面などの損壊が可及的に防止されるといった効果が得られます。
実は、このようにモータなどの回転駆動を利用して姿勢制御する技術は、
特に斬新というわけではなく、他の技術分野では、従来から利用されてきました。
例えば、建設業界では、クレーン作業の際に、
吊り荷の姿勢を安定させるために、
モータの回転動力が利用されています。
しかし、これを『スマホ落下時の姿勢制御』に利用するといった発想は、
建設業界のモータの利用例からは想到困難なものであり、また、
達成される効果(落下時の向きを変えること)が異質であるので、
特許的に斬新なものとして、特許権として権利化される可能性が高いと考えられます。
iPhone 8ぐらいでの実現を期待したいですね。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
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