『価格.com』の価格比較サイトは特許なのか
弁理士の富田です。
今日は、前々回紹介した『価格.com』の価格比較サイトのビジネスモデル特許の続きです。
(前々回の記事はコチラ)
さて、前々回の記事で紹介したとおり、
この『価格.com』の特許申請は最終拒絶処分となりましたが、
今回は、その拒絶の理由について分析してみたいと思います。
(価格.comの特許申請の全文はコチラ)
『価格.com』の価格比較サイトのビジネスモデル特許の内容をおさらいすると、
この特許申請の主な特徴は、次の2点になります。
- 販売者側に販売価格を入力する端末(パソコン)を配置し、
販売者からの入力に基づいて販売価格が更新されるようにする。 - 商品ごとに低価格順における上位所定数内に含まれる販売価格及び対応する販売者の情報を抽出し、
価格の順番を表す情報として記憶し更新する。
そして、上記のような特徴を具備する特許申請に対して
特許庁は、次の理由によって、その特許性を否定しています。
■特徴1に対して:
販売価格はもともと販売者により決定されるものであることを考慮するならば、
販売価格を入力するための端末を、販売価格を決定する販売者側にも配置して、
販売者が販売価格を入力できるようにすることは、
ごく自然な発想であるといえる。
■特徴2に対して:
消費者にとって関心があるのは、
希望する商品の低価格順における上位所定数内に含まれる販売価格及び対応する販売者の情報であることは、
社会常識に照らし明らかである。また、一定の基準に従ってソートされた情報に関して、
上位所定数内に含まれる情報に注目し、この上位の情報を抽出することは、
多くの分野で普通に行われていることである。そうすると、
商品ごとに低価格順における上位所定数内に含まれる販売価格及び対応する販売者の情報を抽出し、
価格の順番を表す情報として記憶し更新するようにすることは、
当業者が容易に想到し得た事項である。
つまり、商品の価格順位というのは、そもそも消費者にとって最大の関心ごとの一つであり、
それをウェブサイト上にランキング形式で上位表示するのは、
技術的創意工夫の斬新さに欠け、特許を付与することができない、
といった拒絶の理由になっています。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
【富田弁理士への問い合わせ先】
〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-16-9 双葉ビル5F
富田国際特許事務所
TEL:03-6205-4272 FAX: 03-3508-2095
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