無料通話・メールアプリ『LINE』の同日通訳に関する特許申請。拒絶理由通知を受けて苦戦中。
弁理士の富田です。
利用者が爆発的に増え続けているアプリ『LINE』。
このLINEに同日通訳機能があることをご存知の方も多いと思います。
今回は、そのLINEの同日通訳に関する特許申請を紹介します。
現在、この特許申請は権利化には至っておらず、いまだに審査継続中の段階にあります。
その申請内容の主たる内容は次のとおり。(申請内容の全文PDFはコチラ)
特許出願人:LINE株式会社
発明の名称:メッセージサービス提供システム及び方法
【請求項1】
メッセージングアプリケーションを通したメッセージングサービス提供方法において、
ユーザ端末のメッセージングアプリケーションで提供されるトークセッションを介してユーザが入力した第1言語のメッセージを受信し、
前記第1言語のメッセージを前記第1言語と異なる第2言語に翻訳したメッセージに対応する第2言語のメッセージを生成し、
前記ユーザ端末のメッセージングアプリケーションを介して第2言語のメッセージを提供し、
前記第2言語のメッセージを提供する際には、ネットワークを介して前記第2言語のメッセージを前記ユーザ端末に送信して前記トークセッション内で前記第2言語のメッセージが表示されるようにする
ことを特徴とするメッセージングサービス提供方法。
特許に不慣れな方は読めないと思いますので、
特許申請の概要を分かりやすく説明しますと、
例えば、LINEを使って、
日本人とアメリカ人との間でメッセージのやり取りをするときに、
・日本語を入力すれば、その英訳文が双方の画面に表示されるようにし、
・英語を入力すれば、その和訳文が双方の画面に表示されるようにする、
といった単純なものです。
つまり、メッセージのやり取りの際に、
擬似的に同時通訳者を介在させるような内容になっています。
単純ゆえに、申請している権利範囲は極めて広いといえます。
もしこの申請が特許権として権利化されれば、当然ですが、
誰も同じような同時通訳サービスを行うことができなくなります。
LINEアプリをベースとする上記の特許申請は、現在審査中ですが、
拒絶理由通知(過去に類似する技術があったため権利化を却下する通知)をくらってしまったため苦戦中です。
現在、特許庁に反論文を提出し、権利化を目指してやり取りを継続しているといった状況にあります。
おそらく、権利範囲を狭めた上で特許権として権利化されることでしょう。
特許になった場合には、その経緯を含めてまた解説したいと思います。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
【富田弁理士への問い合わせ先】
〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-16-9 双葉ビル5F
富田国際特許事務所
TEL:03-6205-4272 FAX: 03-3508-2095
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