自動運転技術で先を行くグーグル。日本に特許申請していることが判明。
弁理士の富田です。
広告収入で得た潤沢な資金を武器に、
自動運転技術の開発で、日本勢のはるか先を行くグーグル。
そのグーグルが、最近、自動運転技術に関する特許を日本で申請していることが判明しました。
特許出願人:グーグル・インク
発明の名称:検出された物体の挙動を予測するシステム及び方法
その申請内容の主たる内容は、次のとおりです。(申請内容の全文PDFはコチラ)
【請求項1】
乗物を制御する方法であって、
一つ以上のセンサを用いて乗物の外部の物体を検出し、
プロセッサを用いて、前記検出された物体の種類及び状態を判定し、
前記検出された物体に類似する種類及び状態を有する他の物体についての挙動データに基づいて、前記検出された物体の予期される挙動を予測し、
前記乗物を所定位置と速度とへ指向させる指令を、前記検出された物体の前記予期される挙動に少なくとも部分的に基づいて与えることを含む方法。
これでは、何のことかさっぱり分かりませんね。
英語の原文をほぼ直訳しているので、
上記のとおり、多少分かり難い内容となっています。
グーグルによる特許申請の内容は、要するに、下記図に示すように、
カメラをはじめとする各種センサを自動車に搭載して、
走行時にその周辺の人や物をセンサで検出するとともに、
その挙動を車載コンピュータで予測し、
その予測データに基づいて自動車の速度や方向を決定する、
といった技術になっています。
内容としては、自動運転技術の基本特許といえるものであり、
これが仮に、国内においてそのまま特許権として権利化されれば、
日本の自動車メーカーにとっては、大きなダメージとなるといえるでしょう。
なお、日本の自動車メーカーによる特許申請状況を調べたところ、
近似する技術の特許申請は皆無でした。
あるのは、自動運転から程遠い技術ばかり。
自動運転技術の開発では、国内自動車メーカーは明らかに出遅れているといえます。
グーグルは、自動運転OSの開発を目指しているといわれており、
このままでは、将来、自動運転OSのシェアの多くをグーグルが占めるといった事態が起こり得ることになります。
日本の電機メーカーの二の舞にならないように、
国内自動車メーカーにも頑張っていただきたいものです。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
【富田弁理士への問い合わせ先】
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富田国際特許事務所
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