特許権の侵害可能性の調査と、特許出願の登録可能性の調査。
この2つは全く異なる調査である。
弁理士の富田です。
さて、今日は吹雪の一日だったので、
自宅で特許調査の仕事をしていました。
特許調査は、一般的に、次の2種類の調査に分類されます。
① 特許権の侵害可能性の調査(第三者の特許権を侵害する可能性があるか否かの調査)
② 特許出願の登録可能性の調査(特許申請予定のアイデアが登録される可能性があるか否かの調査)
上記の2つは、特許に関する調査であるという点で共通していますが、
その調査における視点は全く異なります。
しかしながら、知的財産権に不慣れな方のなかには、
この点を混同している方が多くみられますので、
今日はその点ついて簡単に解説したいと思います。
1.特許権の侵害可能性の調査
この調査では、
・特許公報の『特許請求の範囲』の記載と、
・自己が実施予定の物や方法と
を比較し、
自己のアイデアが特許請求の範囲に包含されるか否かを検討します。
この比較検討では、
『特許請求の範囲』の意味内容を理解する上で、
明細書の発明の詳細な説明等の記載を参照します。
ただし、あくまでも、
比較対象が『特許請求の範囲』である点を忘れてはいけません。
2.特許出願の登録可能性の調査
この調査では、
・公開特許公報等の『すべての記載』と(つまり特許請求の範囲に限定されません)
・自己が特許申請予定のアイデアと
を比較し、
申請予定のアイデアと同等の内容が公報に開示されているか否かを検討します。
この比較検討の調査において、
・同一の従来技術が開示されている場合には、当然、登録可能性はゼロとなりますが、
・相違点があるけれども、近似した技術が開示されているといった場合には、登録可能性が低いと判断されます。
ただし、後者の場合(相違点があるけれども、技術的に近似している場合)には、
申請書類の作成者(つまり弁理士ですね)の力量によっては、
視点や切り口を変えることで登録に導ける可能性があるといえるでしょう、
今日は、2種類の特許調査の違いについて簡単に説明しましたが、
いずれも、それなりの判断を下せるようになるには豊富な経験が必要となります。
上記のような特許調査その他に関し、ご不明な点がありましたら、
弊所の弁理士に何なりとお問い合わせください。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
【富田弁理士への問い合わせ先】
〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-16-9 双葉ビル5F
富田国際特許事務所
TEL:03-6205-4272 FAX: 03-3508-2095
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