3Dプリンター、その特許第1号とは・・・
弁理士の富田です。
さて、今や家電量販店で個人レベルで購入できるようになった『3Dプリンター』ですが、
この技術の基本的アイデアは、今から35年以上も前に考え出されたものでした。
今日は、その3Dプリンターに関する最初の特許(と言われているもの)を紹介したいと思います。
下の画像に示す3Dプリンターに関する特許第1号は、
いまから35年も前の1979年に『Molding Process』というタイトルで米国で特許申請され、
1982年に米国特許権として権利化されました。
(権利内容の全文PDFはコチラ)
見るからに古典的な構造をしているこの米国特許権の3Dプリンターは、
細長いファネル(51)をX軸・Y軸方向に動かすためのモータ(61)(91)を有していて、更に、
ベース(25)をZ軸方向、つまり上下方向に動かすための機構が設けられています。
また、この3Dプリンターには、平面グリッド状のマトリックス部材(21)が設けられています。
マトリックス部材(21)には、蜂の巣のように並んだ貫通孔が形成されています。
この3Dプリンターを使って造形する際には、
マトリックス部材(21)の各貫通孔に、ファネル(51)の先端の位置を合わせ、
位置決めしたファネル(51)を介して各貫通孔にキャスティング材料またはモールド材料を流し込みます。
貫通孔に流し込んだキャスティング材料は経時的に固化するので、
このキャスティング材料が固化した後、モールド材料を除去することで、設計形状の造形品が姿を現すことになります。
このように第1号特許の3Dプリンターは非常に原始的な仕組みだったため、
造形可能な形状は、極めて単純な形状に限られていたと思われますが、
3次元的に造形するための基本的な技術思想は、現在のものとほぼ共通するといえます。
あらためて、この3Dプリンターの基礎を考え出した発明者に敬意を表したいと思います。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
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