弁理士の富田です。
さて、先月書いた記事で「土木分野の特許申請において留意すべき事項」について解説しましたが、今日はその第2弾です。
特許出願の申請書類には、その発明によってどのような効果が達成されるのか(従来技術と比較した有用性)について記載する必要があります。つまり、特許の申請書類には必ず『発明の効果』について記載しなければなりません。
そしてその効果が『従来技術から予測困難な程に格別なもの』と認定された場合に、特許権を受けることができます。
これは、土木分野の特許申請においても同様です。
しかしそのような「効果」の記載があったとしても、発明の内容によっては、申請書類に記載された材料や機材、方法を見ただけでは、本当にそような効果を達成できるのか疑わしいときがあります。
例えば、「ある特定の化学成分を含む地盤改良材を用いて軟弱地盤を改良する」といったときには、その材料の作り方や施工方法などの記載だけでは、特定の効果(申請書類で謳われている地盤改良効果)を本当に達成できるか否かを知ることができないときがあります。
このような種類の発明において、特許の申請書類に実験データ(発明の効果の裏付けとなる実証データ)の記載が無い場合には、特許庁審査官は発明の課題が解決されることを認識できないので、結果として、その発明について特許を受けることはできないことになります。
土木分野の特許申請では、実験データが不要なタイプの発明(例えば施工装置)が多いわけですが、発明の内容によっては実験データ(発明の効果の裏付けとなるデータ)を申請書類に記載すべき点に留意する必要があります。
なお、上述した実験データは、(例外はありますが)多くの場合、申請後における『後出し』が認められていないので、その点にも十分に注意し、必要に応じて申請時の当初から実験データを可能な限り開示しておく必要があります。
(わたしの場合には、実験データが必要な場合には、特許申請の依頼を受けた段階でクライアントに開示をお願いしています。)
本日もお読みいただいて有難うございました。(次回に続く…)
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
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富田国際特許事務所
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