史上初の民間企業の有人宇宙船である『スペースシップワン』。日本でも特許取得されていた。
弁理士の富田です。
宇宙飛行を実現した史上初の民間企業の有人宇宙船である『スペースシップワン』。
ご存じの方も多いと思います。
このスペースシップワンは、本国の米国は勿論のこと、日本でも特許権が取得されています。
その権利内容は次のとおりです。
権利者:モハーベ・エアロスペース・ベンチャーズ
発明の名称:翼付き宇宙船
特許番号:4220521号
【請求項1】
胴体と、該胴体から延伸している左右の翼と、昇降装置とを具備する宇宙船であって:
該左右の翼が、蝶番取り付けされた後方翼区画を有しており、該後方翼区画が外端部を備えていて、該外端部は後方へ向かって延伸しているテールブームを支持していて、該テールブームがラダーを備えた垂直尾翼とエレボンを備えた水平尾翼とを有しており;
該昇降装置は該胴体と該後方翼区画との間に連結されていて、該後方翼区画が、該昇降装置により標準翼形状から該左右の翼に対して上向き状態へ移動されるようになっていて、該上向き状態は、宇宙飛行後の再突入時に該宇宙船を減速するために大きな抗力を提供するものであり、その後該昇降装置は、該宇宙船が制御されたほぼ水平な滑空着陸をできるように、該後方翼区画を該標準翼形に引きもどすようになっている;
宇宙船。
この宇宙船特許の概要は、
折り畳み可能な翼を宇宙船に具備させて、
大気圏突入時に、上図に示すように、翼の一部を上向きに折り曲げて、
減速効果が生み出すといったものになっています。
素晴らしい技術ですが、
独自の有人宇宙飛行を目指さない日本では、このような特許権を取得しても、
日本国内でのライセンス収入や市場の独占といった経済的効果は期待できないといえます。
特許権というのは、投資した開発資金を回収するための手段の一つですから、
製造する国、販売する国、実施する国に絞って特許権を取得するのが得策といえるでしょう。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
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