ゴルフのパッティング方法。
米国ではこのようなアイデアにも特許権を付与。日本ではありえない。
弁理士の富田です。
さて、本日は、米国で特許取得された『ゴルフのパッティング方法』を紹介します。
このような人間の特技に関するアイデアは、
全体としてテクノロジー(技術的創意工夫)に関するものではないため、
日本では特許を取得することができません。
しかし、米国では事情が違います。
権利者:Dale D. Miller
発明の名称:Method of putting
この米国『パッティング特許』の主たる権利内容は次のとおりです。
(米国特許の全文PDFはコチラ)
・利き手(下図では右手)でパターのグリップを握り、
・その利き手の親指後方であって、利き手の手首内側に、反利き手(下図では左手)を置き、
・利き手の手首にある突起部分に、反利き手の中指を添え、
・利き手側の手の甲に対して、反利き手の薬指と小指を押し付け、
・反利き手で利き手をスクイーズするように、パターグリップの進行方向に反利き手側の手のひらを押し込む、
ことを特徴とするパターのグリップ方法。
このように、米国では、『人間の行為・行動』だけで構成されるアイデア、つまり得意技に対しても、
独占権である特許権を付与することがあるわけですが、
日本の特許法では、保護対象を、技術的な創意工夫に限定しており、
そのような『人間の行為・行動』だけで構成されるアイデアを保護対象から除外しています。
したがって、上記のようなパッティング方法に対して特許権が付与されないのは勿論のこと、
純粋なビジネス方法(人間の行為だけが特徴のビジネス方法)についても、
特許権は取得できないことになります。
ただし、新たなアイデアを保護し、経済活動を活性化するという意味では、
保護対象を米国のように広げることが望ましいと言えます。
日本の特許法の今後の改正に期待したいところです。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
【富田弁理士への問い合わせ先】
〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-16-9 双葉ビル5F
富田国際特許事務所
TEL:03-6205-4272 FAX: 03-3508-2095
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