【特許出願】 図面中における説明文の記載について
弁理士の富田です。
特許出願における図面。
例えば機械系の特許図面であれば、一般的に
① 機械の構成図(平面図や断面図など)、
② 符号、
③ 符号が指し示す箇所を現す引き出し線、
などが描かれています。
もう20年近く前のことですが、重鎮の弁理士さんから
・特許図面には、「図面に関する説明」は記載してはいけない、
・そのような説明は、明細書中に記載すべき、
といったような話を聞いたことがありました。
特許庁が公開している「図面中に記入された『図面に関する説明』の取り扱い」によれば、
確かに、そのような説明は、原則として明細書中に記載すべきこととされています。
ですから、重鎮の弁理士さんの話は、おおむね正しかったわけです。
一方、わたしの場合は、
発明の理解のし易さを優先し、特許図面のなかには可能な限り、
「部材の名称」を記入したり、「部材の動作説明」などを記入します。
かなり細かい説明文を図面中に記載することもあります。
このような「図面中における説明文の記載」によって、
依頼人、特許庁審査官、私、の全員が理解し易くなってハッピーなわけですが、
このような記載は、厳密に言えば、
特許庁が公開している「図面中に記入された『図面に関する説明』の取り扱い」に
従っていないことになるのかもしれません。
したがって、そのような「図面中における説明文の記載」が、
何らかのペナルティー事由(拒絶理由など)に該当するか否かが問題となります。
この点、現在の実務上は、「図面中における説明文の記載」は幅広く許容されており、
記載が不鮮明であるとか、第三者を誹謗しているなどの、特殊な事情が無い限り、
「図面中における説明文の記載」だけが理由で拒絶されることは無いといえます。
なお、日本における現在の特許出願の手続きでは、
図面はすべて電子化され、画像データが提出書類の原本となるため、
画像データとなった図面中の説明文が不鮮明にならないよう、
ある程度の大きさ(ポイント)で記載すべき点に注意する必要があります。
本日もお読みいただいて有難うございました。
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
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