特許出願における最後の拒絶理由通知

10.17


 

弁理士の富田です。

最後の拒絶理由通知って何ですか? 通常の拒絶理由通知と何が違うんですか?
特許出願の実務でよく寄せられる質問です。

この手の質問で一般的に使われる回答が、次のようなものです。
『最後の拒絶理由通知』とは、最初の拒絶理由通知に対する応答時の補正によって通知することが必要になった拒絶理由のみを通知するもの。

言っていることは正しいですし、非常にコンパクトにまとめられています。
しかし、素人の方はこの一文を読んでも理解できないことでしょう。

そこで今日は具体例を挙げて『最後の拒絶理由通知』を中心に説明したいと思います。

 (1) 通常の特許出願において、はじめに通知される拒絶理由は、『通常の拒絶理由通知』である。

例えば、請求項を『2項』含む通常の特許出願において、請求項1に対し、
公知文献Aに基づいて進歩性違反(29条2項違反)の拒絶理由を通知する場合には、
通常の拒絶理由通知、いわゆる最初の拒絶理由通知となります。

つまり、通常の特許出願であれば、はじめから『最後の拒絶理由通知』が送付されることはありません。

 (2) 二度目の拒絶理由通知が、『最後の拒絶理由通知』となる場合

上記(1)の例において、出願人が補正書と意見書を提出した結果、
公知文献Aに基づく進歩性違反(29条2項違反)の拒絶理由が解消されたと仮定します。

補正後の内容に基づいて審査官が更にサーチした結果、補正後請求項1に近似する別の公知文献Bを発見した場合において、
当該公知文献Bに基づいて進歩性違反(29条2項違反)の拒絶理由を通知する場合には、最後の拒絶理由通知となります。

なぜなら上記の事例は、まさに「最初の拒絶理由通知に対する応答時の補正によって通知することが必要になった拒絶理由のみを通知するもの。」に該当するからです。

 (3) 二度目の拒絶理由通知が、『最後の拒絶理由通知』とならない場合

上記(1)の例において、出願人が補正書と意見書を提出した結果、
公知文献Aに基づく進歩性違反(29条2項違反)の拒絶理由が解消されたと仮定します。

しかし、審査官がよく調べてみた結果、出願時の請求項2に記載不備(36条違反)を発見した場合において、

当該記載不備の拒絶理由を通知する場合には、通常の拒絶理由通知となります(つまり最後の拒絶理由通知ではない)。

なぜなら、この拒絶理由は、出願人の補正に起因して生じたものではなく、審査官がはじめから出願人に通知すべきものであったからです。

なお、この場合の拒絶理由通知は、二度目ではありますが、上記(1)で挙げた最初の拒絶理由通知と同様の扱いになります。

 (4) 二度目の拒絶理由が通知されず、いきなり『拒絶査定』となる場合

これは、弁理士として最も避けたいパターンの一つです。
上記(1)の例において、出願人が補正書と意見書を提出し、審査官がその内容をあらためて検討した結果、
公知文献Aに基づく進歩性違反(29条2項違反)の拒絶理由が解消されていないと判断したと仮定します。

この場合、引用文献・拒絶理由のいずれもそのまま維持されるので、通常は、再度の拒絶理由が通知されることなく、いきなり拒絶査定(いわゆる審査段階での最終拒絶)となります。
(親切な審査官の場合には、再度の拒絶理由を通知してくれることもありますが、それはあくまでも例外的扱いです。)

 

以上の事例を踏まえて、『最後の拒絶理由通知』を私なりに定義すると、次のようになります。
『最後の拒絶理由通知』とは、
最初の拒絶理由通知に対する応答として出願人が補正書を提出し、
その補正後の内容に基づいて審査官が更なるサーチや検討を行った結果、
(その補正後の内容に対して)通知することが必要になった拒絶理由を通知するもの。

本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所

 

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Author Profile

富田 款国際弁理士事務所 代表弁理士
■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。

【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団

【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など

【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。

【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」

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