弁理士の富田です。
『競合相手(商売敵)の特許出願が権利化されると困ります。どうすればよいですか。』
こんな相談がよく寄せられます。
その発明の内容にもよりますが、
こんなときは、たいてい次のアクションをとるようにアドバイスしています。
① その特許出願の発明にできるだけ近い技術または同一の技術が開示された公知文献を見つけ出す。
この公知文献は、当該特許出願よりも前の日付である必要があります。
② 見つかった文献を特許庁に対して情報提供する。
情報提供の書面は特許庁に対してオンラインで提出することが可能ですし、紙媒体で提出することも可能です。
オンラインで提出した場合には、1週間以内に担当審査官の端末に届くようになっています。
一方、紙媒体で提出した場合には、担当の審査官の手元に届くまで3週間程度かかります。
(書類をテキストデータ化するのに時間がかかるため。)
したがって、緊急性が高い場合(すぐにでも権利化されそうな場合)には、オンラインで提出するのが得策といえます。
③ その後は、特許庁のデータベースに定期的にアクセスして、当該特許出願の審査状況を監視する。
この監視は、権利化が阻止されたのか、あるいは権利化されたかの確認のために行います。
上記②でいう『情報提供』とは、いわゆる刊行物等提出書という書面を提出することで行います。
匿名で手続きを進めるできるため、情報提供者の名前が相手側(特許出願人)に知られることがなく、
また、その相手側から報復措置を受ける可能性が極めて低くなります。
なお、権利化後に特許権をつぶす措置としては、『特許無効審判』がありますが、
この特許無効審判は、手続きを匿名で行うことができないため、
自己の特許権に対する無効審判などのカウンターアクションを起こされる可能性があり、
紛争が長期化するリスクがあります。
また特許無効審判は、当事者間で書面にて主張・反論を何度か繰り返す必要があり、
それゆえ、経済的にも手続き的にも負担が大きくなる可能性があります。
そのため、権利化されると困る特許出願を発見した場合には、
情報提供制度を利用して、出願段階で権利化を阻止することをお勧めします。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
【富田弁理士への問い合わせ先】
〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-16-9 双葉ビル5F
富田国際特許事務所
TEL:03-6205-4272 FAX: 03-3508-2095
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