『○○○工法』…その工法のネーミング(工法名)が突然使えなくなるときが来るかもしれない。
弁理士の富田です。
建設・土木業界に従事する方であれば、
『○○○工法』といった工法のネーミング(工法名)に、
業務を遂行する上で日常的に接することになります。
このような工法の名前が、
日本において何件くらい商標登録されているかご存知でしょうか?
昭和58年に商標登録された『PTC工法』にはじまり、
平成25年11月に商標登録された『スクエアフレーム工法』まで、
その登録件数はトータルで、なんと1700件です。
登録商標のなかで一番多いのが、『スーパートップ工法』などのカタカナで表記されたもので、
次いで、『CDM工法』などのアルファベット3文字で表記されたものが多く登録されています。
なかには、『Z工法』などの単純名称の登録商標もあります。
この1700件のすべてが、今日現在も商標権として有効に存続しています。
一方、わが国において実際に使用されている工法のネーミングは、
当然のことながら1700件では収まらず、その何倍も存在することでしょう。
ところで、日本の法律では、
① 工法のネーミングを先に使い始めた者と、
② その工法のネーミングを先に商標登録した者と、
どちらが優先して保護されるのでしょうか。
特に、上記①が先行していて、上記②が時期的に後だった場合に、
どちらが保護されるのかが問題となります。
先に使い始めたものが保護される、と言いたいところですが、残念ながら、
わが国の法律では、原則として、先に商標登録した者が優先して保護されることになります。
ですから、自社の工法のネーミングが、第三者(国籍を問わず)によって商標登録された場合、
以後は、原則としてその工法名を使用し続けることができなくなります。
工法のネーミングは、長年の使用によって、そこに多大な信用力が蓄積されるため、
ある日突然その工法名が使えなくなると、建設・土木業者にとって多大な損失を被ることは明らかです。
したがって、工法名について長期の使用を想定している場合には、商標登録することが得策といえます。
なお、工法のネーミングについて、
・商標登録できるか、
・どのように商標登録するのが適切なのか、
といった点については、商標の専門家の意見が不可欠となります。
弊所では、土木技術等を扱う弁理士のほか、商標問題を扱う専門の弁理士が所属しておりますので、
施工業者の業務内容等に応じて、適切なアドバイスを提供することが可能です。
工法名の商標登録についてご不明な点がありましたら、遠慮なくお問い合わせください。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
【富田弁理士への問い合わせ先】
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富田国際特許事務所
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