コンピュータの『マウス』、その世界初の特許の内容とは…
弁理士の富田です。
パソコンで使う『マウス』。
その基本原理は、
1960年代に、米国のダグラス・エンゲルバートによって発明されたものですが、
誕生から50年近く経過した現在でも、
パソコンを操作するのに不可欠なデバイスの一つとなっています。
(50年後には無くなっていると思いますが…)
ところで、この『マウス』、
今でこそ光学式のレーザーマウスが一般的になっていますが、
誕生初期のマウスとは、いったいどのような構造だったのでしょうか。
そこで今回は
コンピュータ・マウスの発明者である米国のダグラス・エンゲルバートが
1970年に初めて取得した米国特許権を紹介したいと思います。
上の図を見て分かるとおり、
誕生初期のマウスというのは、
・X方向の移動を検出するためのホイール(42)
・Y方向の移動を検出するためのホイール(46)
・複数のクリックボタン(22)
を有しています。
一昔前のボール型マウスに比較的近い構造となっていますが、
この特許発明では、まだ、ホイール(42)(46)を一緒に動かす『ボール』というのは備わっていません。
つまり、ホイール(42)(46)を、それぞれ別々にテーブル表面に接触させるようになっています。
そしてこの米国特許権の肝心の権利内容ですが、ざっくりといって、
・ハウジングと、
・前記ハウジング内に回転可能に設けられた、第1の位置検出ホイールと、
・前記ハウジング内に回転可能に設けられた、第2の位置検出ホイールと、
・前記ホイールの回転角度を示すデジタル位置信号を生成するトランスデューサ―と、
・前記トランスデューサ―をコンピュータに接続する可撓性の接続手段と、
・を有するポインティング・デバイス、
といった感じになっています。
ちなみに、この後に登場する、いわゆる『ボール型マウス』は、
この米国特許権に抵触する内容ではなかったようですが、
この米国特許権の基本原理が、その後に登場する数多くのマウスの基本となったことは間違いないようです。
最後に、今回紹介したマウスの米国特許権の全文PDFはコチラから。
本日もお読みいただいて有難うございました。
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
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