弁理士の富田です。
さて、前回の記事で解説したとおり、不正競争防止法では、禁止される不正競争行為の一つとして、次の行為を規定しています。
・競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為(不競法2条1項14号)
そして、取引先への侵害警告等が、上記の不正競争行為に該当するとされた具体的事例としては、次のようなものが挙げられます。
■ 特許権者が、「○○社の製品は、××社の特許権に抵触するものであるから注意されたい」旨の広告を掲載した行為について、
特許権を侵害しないとして不正競争行為に該当すると認定(東京地判昭47.3.17)。
■ ライバル会社の類似製品が自己の特許権に抵触する旨の内容を、その取引先に対して書面をもって通知した行為について、
特許権を侵害しないとして不正競争行為に該当すると認定(大阪地判昭52.1.21)。
■ 特許権者が、類似製品を販売するライバル会社の取引先等に対し「その商品は特許権を侵害する」という警告状を送付した行為について、特許権を侵害しないとして不正競争行為に該当すると認定(大阪地判昭54.2.28)。
■ 特許権者が、類似製品を販売するライバル会社の取引先等に対し、
・その製品は特許にひっかかっており年内には製造を中止させるので買わない方がいい、
・通産省の行政指導でその製品は製造できなくなる、
・特許関係の裁判では特許権者が勝っている、
などと流布した行為について、すべて虚偽の事実であるとして不正競争行為に該当すると認定(東京高判平元.3.7)。
なお、上記の事例では、侵害被疑者の取引際等に虚偽の事実を告知等することを問題としていますが、
侵害被疑者である相手方に対して直接的に告知するのであれば、(たとえその内容が虚偽の事実であっても)不競法2条1項14号の不正競争行為に該当することにはならないので、その点にご留意ください。
本日もお読みいただいて有難うございました。(次回に続く…)
虎ノ門 富田国際特許事務所
Author Profile
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■ 1997年より国際弁理士事務所にて、主に、米国・欧州・日本における知的財産権業務に従事。
■ 国内および外国のオフィシャル・アクションへの対応、外国法律事務所へのインストラクションなどを担当。また、米国やドイツのクライアントからの日本向け特許出願の権利化業務を担当。特許の権利化業務のほか、特許権侵害訴訟や特許無効審判、特許異議申立、口頭審理対応、侵害鑑定の業務も担当。訴訟業務では、特許権侵害訴訟のほか、特許無効審判の審決取り消し訴訟を経験。
【所属団体】 日本弁理士会,日弁連 法務研究財団
【専門分野】 特許、商標、意匠、不正競争防止法、侵害訴訟など
【技術分野】 機械、制御、IoT関連、メカトロニクス、金属材料、金属加工、建築土木技術、コンピュータ、ソフトウェア、プラント、歯科医療機器、インプラント、プロダクトデザイン、ビジネスモデル特許など。
【その他の活動】
■ 2013.09.17 セミナー講師: 東京メトロポリタン・ビジネス倶楽部 「職務発明の取り扱い」
■ 2014.04.19 テレビ出演: テレビ朝日 「みんなの疑問 ニュースなぜ太郎」
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